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蜜蜂と遠雷のtakechiのレビュー・感想・評価

蜜蜂と遠雷(2019年製作の映画)
2.4
原作を先に読んでしまったのだけれども・・・。
原作のある映画を、原作のイメージと違うなんてこと言うのは
ナンセンスだと思うんですよ、私は。
映画は映画。原作は原作でいいと。
しかしなんだろう・・・。
これは、原作を追いすぎてるのかな・・・
いや、原作の良さはほぼ演奏シーンの中でキャラクターの人生を表現していくという、この手の青春音楽ものとしては挑戦的な手法にあったと思うんですが、
素直に映画化するなら絶好の素材で、とにかく演奏に力を入れてじっくりと聴かせ、あとは4人の主人公の人生を音色の違いで表現できるかどうか。
コーンクールを勝ち上がるごとに、コンテスタント同士がお互いの演奏にインスパイアされ、審査員、観客、コンテストスタッフがしだいに一体となって会場全体の温度が昇華していく様子を音楽によって描く。
それを可能にするのは映画の舞台裏の演奏家の力量しだいだぞよ!
4人それぞれに別の専属ピアニストが付いたという事で。
どれどれ・・・と。そんな映画を勝手に期待していたのですが・・。
その違いをじゅうぶんに表現しきれていなかった気がします。
カデンツァのシーンが最大の見どころでした。
ストーリー面においては、原作の主人公4人の経歴設定を
狂言回し的な脇役(斉藤由貴とブルゾン)にぼそぼそと説明セリフで語らせながら進行する手法がなんとも残念でした。
ああ、それはまったく俳優さんの演技力に罪はなく、
監督、脚本レベルの責任だと思うんですがね
コンテストものあるあるの、足の引っ張り合い、ののしりあいは全くなく、
わりとはじめから4人の演奏者(若手俳優たち)のフレンドリーな雰囲気で、天才たちの由縁の一体感として、つづられていくところも・・・
賛否分かれるところでしょうが、僕は好意的に受け止めます。
これはライバルと戦って打ち負かすのではなく、ライバルの力を吸収して
何倍もの力を発揮していくのが爽快なんです。
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