世に、音楽映画、スポーツ映画など特定の専門家の世界を描いた映画は数あれど、マジでピアノのみ、なんなら1つのコンクールのみで1本の映画になってしまうことがまず驚き。
そういう意味で、これはもうガンガンに攻めた映画でしたね。
そして撮影も演技も編集もレベルがめちゃくちゃ高いんだけど、逆にウマすぎて鼻につくというか、ウマさがウマさとして前面に出過ぎている感。これは難癖です。説明的な部分が極力排除されているし、時系列の操り方も巧みで、こちら側でいろいろなことに思いを巡らせ、読み取り、想像させてくれるのはとても良い。が、原作小説があるためか、セリフが劇画調というか、あまり自然ではなく、とても”よくできている感”が、映画と自分との間にちょっとした距離を感じて、諸手を上げて最高！となれなかったのかも。
そんな中でも森崎ウィンはとても良かったなあ。あの、いまにもリンゴを丸かじりしそうな鹿賀丈史とのバトルシーンでの演技は絶品でした。ああいうとっつきづらい大人っているし、そういう大人の前だとそういう感じの顔になっちゃうのめっちゃ分かるわ。
調律師をちゃんとキャラ立たせて解説役に使っていたのも、やるなって感じで好きでしたね。
