本当に救いがないのだけれど、この愛おしくすら思えてくる感情は一体なんなんだろう。誰かが命を懸けて何かを伝えたかったということだけでは…きっとない。
時間が経つにつれ重くズシンと胸に沈み込んでくるこの余韻も決して不快なものだけでもない。
この世の生きづらさをまじまじと見つめていたフー・ボー監督の次回作がもう観られないということがとても残念に思う。
以下、少しだけネタバレあり〼。
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この映画はどこまでも暗さに満ちている。
犯罪映画でもないのに人が死ぬ。
犬も死ぬ。
死はいつも彼らのすぐそばにある。
そんな世界で彼らは自分に正直に生きようとする。
しかし、彼らのその 誠実さ は 座ったまま何もしないサーカスの中の象 でしかない… という現実をもきっと彼らは理解している。
対岸がこちらより良くみえたとしても、結局どこに行っても何も変わらないことを理解していても、その対岸に縋らざる得ない『絶望感』が静かに深く描かれた群集劇。
これが今の中国、現代社会だとするのなら、哀しすぎる。