にーやん

ぼくは怖くないのにーやんのレビュー・感想・評価

ぼくは怖くない(2003年製作の映画)
3.9
1978年夏の南イタリア。黄金色に輝く広大な麦畑にたった5軒しかない小さな集落。ここで家族と暮らす10歳のミケーレはある日、廃屋の裏庭に隠された穴の中で鎖に繋がれた少年を発見する。その恐怖から誰にも言い出せないまま、好奇心からこっそりとその穴に通ってしまう…。


ホラーやミステリー要素を含みつつ進んでいくストーリーの展開に応じて誇張することなく、等身大の少年の心の動きを上手く描いた良作。1978年当時のイタリア情勢を背景に身勝手な大人の事情に巻き込まれながらも、真っ直ぐで純粋な気持ちを貫いた少年のひと夏の物語。ショッキングな結末に繋がってしまう伏線回収も自分的には好みです。


『アメリ』や『善き人のためのソナタ』などを世に贈り出したアルバトロス・フィルム社配給作品。


以下、ネタバレあり〼。
↓☟↓☟↓





まず、一番印象的だったのが子供同士の距離感。村の子供たちも含めてミケーレとフィリッポとの心の距離が絶妙でとても良かった。ミケーレも10歳ながらの好奇心で大人の事情を察知する自頭の良さを発揮する反面、「空腹の人に何を買えばいいのか?」と店のおばさんに安易に伺いを立ててしまう幼さも本当に良き、巧い。子供らしいアンバランスさと黄金色の麦畑に否応なく湧き上がってくるノスタルジーをたっぷりと堪能させていただきました。
にーやん

にーやん