むらむら

ジュラシック・ワールド/新たなる支配者のむらむらのレビュー・感想・評価

5.0
むらむら「本日は『ジュラシック・ワールド』鑑賞会のために、近所の動物園の皆さんに集まって頂きましたー!」

(一同パチパチ)

むらむら「では自己紹介お願いします」
イグアナ「こんにちは。近い親戚だと言うので楽しみにしてきました。特別上映会呼んで頂きありがとうございます。爬虫類のイグアナです」
うさぎ「愛玩動物代表のうさぎちゃんです。バニーって呼んで(ハート)」
マントヒヒ「動物園いちの知性派ということで呼ばれたマントヒヒなのである。趣味は映画鑑賞とレビュー書き。フィルマにもマントヒヒだということを隠して、匿名で参加しておるのである」
ニワトリ「ニワトリです。来週には『鳥貴族』に行かされてしまうのですが。動物園の思い出の最後に映画でも……と思って、自分から参加しました! 落ち込むこともありますが、私は元気です!」
マントヒヒ「おっ、いまの台詞、『魔女の宅急便』であるかな?」
ニワトリ「あ、分かります!? うふふ」
マントヒヒ「『魔女の宅急便』は宮崎駿の名作で……(中略)……フィルマでは評価4.1にしたのであーる」
ニワトリ「……」
ゾウ「ゾウです。今日は楽しみだゾウ」
マントヒヒ「おっ、もしかしてソリッドスリラーで有名な……」
ゾウ「それはSAWだゾウ」

むらむら「あー、マントヒヒさんは映画マニアで話が長いので、このあたりにして頂いて。みなさんドリンクは配られましたか?」
うさぎ「私は水飲まないのでニンジンいただきましたー」
ゾウ「特大サイズのバケツみたいなドリンクもらったので2時間30分トイレ行かないか心配だゾウ」
マントヒヒ「本日の観客数6名! 最前列からの鑑賞! もうフィルマの下書きを始めたのである!」
むらむら「あー、もういいからいいから。じゃあ上映開始しますよ。ぽちっとな」

(2時間30分経過)

うさぎ「い、いやあああああああああ」(と泣きながら走り去る)
むらむら「あ、行っちゃった……」
イグアナ「仕方ないですよ。映画の中では単なるエサ扱いで恐竜にパックリ食べられちゃってたんだから……」
むらむら「そうですか。では、皆さん感想を」
ゾウ「感想の前にトイレ行きたいゾウ」
むらむら「すぐ終わりますから我慢して」
マントヒヒ「すでに吾輩はエンドロール前にあらすじは書き上げたのであーる。さて今回の作品、吾輩としては3.0の厳しい評価としたい。なぜなら……」

(10分ほど、マントヒヒの長尺の映画レビューが語られる)

マントヒヒ「ぜいぜい……というわけで甘めの採点で3.0としてあげたのである! これで記念すべき100本目のレビュー」
ゾウ「トイレ行きたいゾウ」
マントヒヒ「(無視して)今回は吾輩のレビューを待ち望むフォロワーのためにも、じっくりと、長く、深く書かねば……」

(マントヒヒ、一心不乱にレビューを書き始めて、自分の世界に入り込んでしまい、座談会から離脱)

むらむら「(気を取り直して)イグアナさんの感想は?」
イグアナ「うーん、迫力あるのは良いんですけど、正直言って、恐竜よりもイナゴの方が目立ってませんか? これじゃあ『ジュラシック・パーク』じゃなくて、昆虫館行ってる気分になりますよ。『イナゴパーク』ってタイトルで良かったのでは?」

(一同うなずく)

イグアナ「あと言わせてもらうと、ちょっと恐竜をバカにしすぎじゃないですか? 『赤外線を当てた相手を執拗に追いかける』って何ですかあれは。恐竜はラジコンですか」
ニワトリ「でも、主人公のオーウェンさんが、手をかざして恐竜を操ろうとするとこ、カッコよくなかったですか?」
ゾウ「カッコよかったゾウ」
イグアナ「限度があるでしょ限度が。毎回毎回、バカの一つ覚えみたいに手かざししてたけど、ハンドパワーかっつーの」
むらむら「あの手かざしで手懐ける力、なんとか女性に応用できないもんですかね」
イグアナ「(無視して)それ以外にも、目の前に10人近く主人公たちが歩いてるのに気付かないギガノトサウルスとか、冒頭だけしか出番がない海獣モササウルスとか、とりあえず出しとけ感が多くて、バカみたいじゃないですか。これじゃあご先祖様に申し訳が立ちませんよ。うちの娘にも『ご先祖さまが活躍してるぞ』って自慢するつもりだったのに、イナゴ以下なんて……うう……うわぁぁあん」

(イグアナ泣き始めて、座談会から離脱)

むらむら「イグアナさん娘いるんですか。これがホントの『イグアナの娘』ですね」
ニワトリ「……」
ゾウ「……」
むらむら「えーっと、ニワトリさんからも感想いただけますかね」
ニワトリ「まずは画面の暗いシーンが多くて、よく分からなかったわね。私、トリ目だし」
むらむら「ふむふむ」
ニワトリ「加えて、悪のバイオ企業バイオシンのセキュリティがガバガバなのは気になったわねえ。あと鳥類の恐竜が、バリアで防がれてるって割にその描写がなかったり、軽く扱われてるようなのはちょっとトサカに来たわね。まぁ、私は、来週には『鳥貴族』に行って、セレブ生活を送る予定だから、どーでもいいんだけど」
ゾウ「そんなことはないゾウ。ニワトリさんもこのバイオシンの焼却設備みたいな設備で丸焼きにされるのだゾウ」
ニワトリ「丸焼き?? そ、そんな訳は……私は貴族生活に選ばれた」
ゾウ「『鳥貴族』は安い庶民向けの焼き鳥屋だゾウ」
むらむら「私も良くお世話になってます」
ニワトリ「コケーッコッコォォォオ!!」

(ニワトリ、慌てて逃げ出す)

ゾウ「……誰もいなくなったゾウ」
むらむら「そうですね困りましたね。一応、座談会ということで企画したので……ゾウさんだけでは成り立た……」
????「ガオーーーーーッ!!!」

(外から聞こえる咆哮)

むらむら「えっ、だ、誰ですか?」

(壁をぶち破り、現れたのはティラノサウルス)

むらむら「うわー、ホントにホントに恐竜だーっ!」
ゾウ「自分、食べられちゃいそうだゾウ」
ティラノ「富・士・サ・フ・ァ・リ・パーク!」
むらむら「???」
ティラノ「むらむらくん、いまの、富士サファリパークのテーマでしょ?」
むらむら「ふわっ!?」
ティラノ「あ、逃げなくていいから」
むらむら「でも……」
ティラノ「なんかここで座談会やってるって聞こえたんで、用事の前に立ち寄ってみただけだから」
ゾウ「僕らみんな食べられちゃいそうだゾウ」
ティラノ「大丈夫! いま、満腹だから。たった今、偶然、そのへん飛び跳ねてたウサギとニワトリを食べたばかりだし」
むらむら「あっ……(察し)」
ティラノ「なので安心して何でも聞いて」

(みんな気を取り直して座談会開始)

むらむら「で、では、ティラノさんの感想は?」
ティラノ「そうだねー。さっきまで外で聞いてたんだけど、イグアナくんの言う『恐竜があまり活躍してない』ってのはその通りなんだよね。ホントはマルタ島の街中とか、僕が暴れるべきだったんだろうけど、そうすると『これってゴジラ?』みたいになっちゃいそうだし。難しいとこだよね」
ゾウ「マルタ島のシーンは、都合よく車とかバイクとかありすぎだと思ったゾウ」
ティラノ「お、ゾウさんいいとこ指摘するね。お礼にいち咆哮あげる。ガオーッ! どう? ビビった?」
ゾウ「ちびったゾウ」

(ティラノザウルスうなずく)

ティラノ「いい反応。そうなんだよね。それに加えて、主人公たちに対して、みんな親切すぎるんだよね。CIAも運び屋も、なんならバイオシン社の中の人まで仲間になってく、って男塾以下のご都合主義だって感じなかった?」
ゾウ「まだちびってるゾウ」
ティラノ「(無視して)ファンサなのかどーか知らないけど、過去作から登場人物出しすぎて、後半は主人公たちの御一行さまが10人くらい(ヴェロキラプトル含む)になって大名行列。一応主人公たちだからバレないんだけど、本音言うと、鴨ネギ状態だったから、僕、全員まとめて食べちゃいたかったね。ガオーッ!」

(ティラノサウルスがひとしきり咆哮)

むらむら「た、確かに、後半は見せ場を均等に割り振りすぎて緊張感なかったですね」
ティラノ「結局、『動物と恐竜と人間の共存だ!』なんて言ってるわりに、共存してるのは出演者たちだけだよね」
むらむら「出演者の互助会みたいでしたよね」
ティラノ「やっぱり僕が、バーンと大活躍しなきゃダメなワケよ。僕の出番、めっちゃ少なかったし。ジョン・ウィリアムズのテーマ曲も、ちょっとしか出てこなかったし」
ゾウ「オシッコはいっぱい出てるゾウ」
ティラノ「(無視して)いっそのことエンディングは薬師丸ひろ子に歌わせても良かったんじゃない? なーんて」
むらむら「おっ、『わくわく動物ランド』じゃないですか……詳しいっすね」
ティラノ「僕も小さい頃、テレビに齧りついて観てたからね。とにかく、今回は僕の出番少なかったので、みなさん、ユニバーサルに『ティラノさん主役の続編作って!』って書いていっぱい手紙送ってね。ブルーとかは無視でいいから。あ、そろそろ新潟にまた行かなきゃ」
むらむら「新潟? また?」
ティラノ「ちょうど、恐竜展やっててゲストで呼ばれてんのよ。先週もダイナソーJr。を苗場で観てたんだけど、良かったよ。あ、そろそろ新幹線の時間だ。またね! ガオーッ!」

(水浸しの中、ティラノサウルスが、ドシンドシンと去る)

むらむら「……というわけで、スペシャルゲストも登場した今回の座談会、まとまりがないじゃねーか、という感想を抱かれたかもしれませんが、それは、本作『ジュラシック・ワールド』自体が、過去作からのスペシャルゲストだらけでまとまりのなかったということに起因している、ってことにしておいてください。それでは次の機会をお楽しみに! ではまた!」
ゾウ「まだ漏らしてるゾウ……」

(おしまい)
むらむら

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