なにかを眼差すこと/眼差さないことを性的興奮すること/インポテンツであることという身体的な能力の欠陥のイメージ同士で結びつけることでアベイショフィリアのひとつをピンク映画のノワールで描く。眼差すことの疲れから目隠しを自ら希望してセックスするラストに悶絶。前半部で犯罪者はいとも簡単につきとめられるし、その手口も分かりきっているにもかかわらず、アベイショフィリアの倒錯したメロドラマで物語を持続させるのだからなんとも奇妙で、全体的に冗長すぎる気もするし演出は普通だが、これはまさに真の意味で文学的な映画だと思えた。