ルサチマ

リスクへの挑戦のルサチマのレビュー・感想・評価

リスクへの挑戦(2004年製作の映画)
4.7
二社の企業の商品開発にまつわるミーティングを記録しただけではあるが、この一つの商品が生産されるまでの対立と決定にいたる過程をこれほど端的に図示した映画はない。サラリーマン仕事をしている人間であれば誰もが一度は経験する退屈な日常であり、劇を求める視点から見ればそれは非映画的極まりない時間と空間であるが、それは例えば肉体労働従事者の苦悩といったものを捉える映画的なドキュメンタリーの見せかけの誠実さを全く退けるという意味で逆説的に最も映画的な知性と倫理を獲得する。
倒産を覚悟に商品を生み出すための大きなリスクをかけたデスクワーカーを通して、映画の企画が生まれるのと同じようなビジネスの構造そのものをまさにドキュメントとして提示するファロッキの目線が、ブルジョワ的な二社を撮影し、モンタージュすることで、狭義のドキュメンタリーを遥かに超えた物語映画を生産する。
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