ルサチマ

ルーマニア革命ビデオグラム(ある革命のビデオグラム)のルサチマのレビュー・感想・評価

5.0
ルーマニア革命を記録したテレビ中継など、多くの既成映像素材のみを使い、ファロッキはそれらの順序を整理し、それらの映像が示すことのみをテロップで見せる。テレビ屋の実況中継が示す映像から、革命で乱れる市内を監視しつつ、そこに映る決定的な何か(ミステリーと言ってもいいかもしれない)に焦点を当てるように画面を選択するファロッキの手捌きはアメリカの機密組織のよう。ファロッキもまた、70年代の岩佐寿弥のように自ら署名のついた映像に拘らず「映画する」ことを実践してみせた作家だったといえるかもしれない。他方、誰ともわからぬ映像に目を配り、映像そして音を対等なものとして提示しながら、ファロッキは記号的ながらも的確なテロップを付すことによって、テキストの効果こそをやはり第一に思考していた作家性を固有のものとして抱えていた人物だったのかも。
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