ルサチマ

労働者は工場を去って行くのルサチマのレビュー・感想・評価

労働者は工場を去って行く(1995年製作の映画)
4.8
リュミエールの「工場の出口」に始まり、工場の扉と労働者の関係を監獄と囚人に重ね合わせつつ、映画の中で描かれた工場と労働者、監獄と囚人の関係をこれまた数多の膨大な既成映像作品からコラージュする。
ソビエト映画の他、ラング「メトロポリス」で一定の速度で工事から出ていく労働者の姿やチャップリンが工場の前でヘマをして警官に石をぶつけたことがきっかけに監獄へ連行される場面、またはゴミ廃棄の工場帰りの女の労働者を描いた映像や、工場から出て男と待ち合わせする女の姿など、工場と監獄が性差を問わずして描かれる。
現代では労働者は制服を必ずしも着用するわけではなくなり、労働者と一般人の違いを見分けられなくなったが、ファロッキは労働者を個人として切り取らない。工場を監獄と例えるように、人間を資本/法律上逸脱しないように管理するその構造そのものを焦点としているように見える。
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