佐藤克巳

殺したのは誰だの佐藤克巳のレビュー・感想・評価

殺したのは誰だ(1957年製作の映画)
4.5
貧しかった頃の日本を象徴する新藤兼人脚本、中平康監督の傑作。若かりし小林旭の賭けビリヤードの、音をも視覚化する緊迫感を見事に演出。死神の様な西村晃の囁きに誘われ、保険金詐欺のため車を快走させ激突して死んだ殿山泰司。同様に快走する息子の車を止めようとし轢かれた菅井一郎の哀れさ。山根寿子、渡辺美佐子の苦悩のアップショットに凄み。金は金のある奴にしか行かない非情な現実。一歩踏み外せば、そこは地獄。後年の「泥の河」なんぞ目じゃない、当時のリアリズムの粋。
佐藤克巳

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