Ayax

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのAyaxのレビュー・感想・評価

3.8
試写会で鑑賞。日本最速試写会だったらしい。
私はスコセッシのファンではないし、テーマ的にもあまり興味があるものではなかったので(でも一応観たい)、3時間半超えは寝ちゃいそうだなと心配だった。だけども眠くならなかったねー。ストーリーも事件は起こるものの、爆発とかカーチェイスとかはないから、いつ寝てもおかしくないんだけど。一体何なんだろうっていう興味を持続させる脚本とカメラワークの面白さとかのレベルが抜群なのかな。街(セットかな)とか建物も人もとてもリッチな映像。
白人がネイティブアメリカン(インディアン)を追いやって居住地に閉じ込めてたら、その居住地に油田が見つかってしまって、という。オイルマネーの利権と人種差別が渦巻く地域社会。
ノンフィクションの原作があるので映画もノンフィクション。ディカプリオはもともと後半に登場する保安官役でオファーされてたらしいのだけど、この役をやりたいと言ったらしい。すごい小者の役で着眼点が「ほんとお前すげーな」という感じ。どっちが先かはわからないけど、原作はもともと保安官がほぼ主人公のところを映画の方はディカプリオがやりたいと言ったちょい脇役の器小さい男を主人公にして書き直したのだそう。ディカプリオがそこまで考えてたかわからないけど、確かに保安官が主人公だと白人目線の話になっちゃうんだよね。原作未読だけど、アカデミー賞脚色賞ノミネートは堅そう。
ディカプリオが演じた男が良くも悪くも馬鹿で、純粋(純愛)な一面もあって、複雑な感情をめちゃくちゃ上手く表現してたなと思う。でもすっごい馬鹿なの。デ・ニーロに尻叩かれて笑った。ちなみにロバート・デ・ニーロはゴリゴリのリベラルでこの役の気持ちが1mmもわからなかったそうで、トランプになった気持ちで演じたらしい。
説明がほぼなく(良い映画である証でもある)、えーこの人今どういう感情??とか考えながら観るので、何も考えずに観られる映画を観たい気分の時はやめといた方がいいかなと思う。
説明無しでも全然楽しめたけど、試写後のトークショーで村山章さんや宇多丸さんが話してたことを聞いてなるほどと思った部分もあるので、史実について知ってから観るとさらに楽しめるかな。2回目観るとどうなるかわかってるので最初からめちゃ怖いらしい。
マーティン・スコセッシ、御年80歳。さすがの重心の低さ。骨太。
#映画キラーズ #Filmarks試写会
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