七月

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンの七月のレビュー・感想・評価

4.0
ネイティブアメリカンに興味があって試写に応募した作品。
オセージ族の儀式や精神世界、彼らの言葉の描写に時間をかけていることや、白人至上主義によってもたらされた状況を丁寧に描いていることに誠実さを感じた。憎しみや恨みではないただの暴力によってあっけなく人が殺されていくさまはスコセッシ的でゾッとする。

主人公のアーネストについて、愚かで浅はかな男なのはそのとおりなのだけど、彼が自分の能力に引け目を感じており、そこに叔父のヘイルがつけ込んで、彼の承認欲求を満たすことで自分に依存させ支配する関係性はわたしたちの世界でよくあることで、彼がコヨーテ=トリックスターであることを含めて簡単に愚かだクズだと指を指すことはできないと感じました。

叔父のヘイルについて、他人の権利を奪い、その人たちのことを決める権利があるとナチュラルに思っている人間は、その人たちがどう感じるかなんて興味がないし、考えない。だから自分の都合で友人のように振る舞ったり排除したりできるということがよくわかる人物でした。
七月

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