七月

タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜の七月のレビュー・感想・評価

4.0
みんなが高評価をつける作品は面白いことがわかっているので後回しにしてしまうのだけどようやく観た。面白かった。
韓国の歴史的な事件を題材にしたヒーローものと言っていいストーリーだけど、主人公は優しいけどずる賢い面もありちょっと情けない普通のおじさんで、市民運動や民主化にも興味がない。そのおじさんの視点を通して家族や生活や周りの人たちや韓国のことが描かれる。そこで生まれるおじさんの当たり前の苦悩や葛藤に、ただの一般市民である我々も感情移入してしまうよねえこれは…ソン・ガンホが本当に良かった。
終盤に賛否の分かれるアクションシーンがあり、それ自体はギリギリまでエンタメ性を高める韓国映画あるあるだと思う。でも、家族を思う主人公の葛藤は描かれるのに、他のおじさんたちはそれが描かれなくて、そういう展開で気持ちよくなるのはどうなのかとモヤモヤしました。せめて家族の元に帰った描写でもあれば…と思ったので少しマイナス。

市民に対峙する軍関係者の行為は本当に見ているのが辛いものばかりだけど、終盤シーンではそういう人ばかりではないということも描かれていて、少しだけ救いになった。
他の方のレビューで、職業軍人ではなく徴兵された若者(だから市民寄りの行動を起こした)との考察もあってなるほどと思ったけれど、個人的には振る舞いや言葉の威圧感が明らかに周りの軍人とは違うように感じたので、この人は職業軍人なのでは?とも思う ちなみに韓国ドラマ『ホームタウン』のヤバカルト洗脳テロ犯役のオム・テグが演じているのでビジュアルの説得力もすごい。
七月

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