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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのsakuのレビュー・感想・評価

5.0
テーマが暗く上映時間が長いので観るのを躊躇ったが、結果、観てよかった。

デ・ニーロは悪人がするすべての表情を演ったんじゃないかと思えるほど憎たらしく狡猾で老獪だった。欲にまみれて人を殺すこと、ワナにかけることになんの躊躇いを見せない、迷いがない表情が怖い。あのジッと、弱い者を見据える目、怖いのだ。

それと対照的だったのが、レオナルド・ディカプリオ扮するアーネストだが、この男がまあ、デ・ニーロ扮するキングに利用されまくる。無知と人の良さにつけ込まれ翻弄される人のすべての表情をディカプリオは演ったんじゃないかというほどの気の毒ぶりだった。

この2人の天才の演技がもの凄く見応えがあったのと、話の展開が前半の説明部分を抜けて中盤からラストのクライマックスにかけて見事に構成されていて長さをまったく感じなかった。ぐいぐい引き込まれた。

ケープ・フィアーのデ・ニーロも怖かったが、歳をとっても悪人を演じればもの凄く怖いデ・ニーロだった。フェイクの時のジョニー・デップがアル・パチーノと互角に演じたように、ディカプリオも凄かった。最後、奥さんに、あの薬の中身は何だったの?と聞かれて答える表情を見てほしい。あの表情の複雑さ、、アーネストの最も弱い部分が出たその時の表情を見てほしい。あの中身を薄々分かっていながら明確に分かろうとせず、この期に及んでずるさを見せてしまったあの表情…。許しを乞うべきではなかったか…。

この映画で見せるデ・ニーロとディカプリオの表情をスクショして切り取ってファイルにとっておきたいと思うほどなのだが、そして、スコセッシ監督が掛け合わさってすごいことになる。それは言わずもがななんだけど、やっぱり言っておきたい。
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