悪魔の毒々クチビル

悪魔に呼ばれる前にの悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

悪魔に呼ばれる前に(2018年製作の映画)
3.6
富は魂と引き換えに

疎遠だった父が病に倒れて会いに来た娘と異母兄妹らに悪魔が襲い掛かるお話。


ネトフリで配信中のインドネシア産ホラー映画です。
監督・脚本共に担当しているのはホラーファンからは「マカブル」、俺みたいなイコ・ウワイス大好きマンにとっては「ヘッドショット」や「シャドー・オブ・ナイト」と言った傑作でお馴染みティモ・ジャヤントでございます。
余談ですが最近はスマホのホーム画面を「ヘッドショット」の時のイコさんから、「エクスペンダブルズ4」のイコさんに変更して開く度に「ヌフフフフフww」とキモい笑みを浮かべておりますさかいに。

主役のアルフィ役に「ヘッドショット」のヒロインだったチェルシー・イスラン。
何か最後泥だらけになって少女といる場面は、ちょっと「ヘッドショット」みたいだなと思いました。
あと父親が闇の巫女と契約するシーンから始まるんだけど、お父さんが「ザ・レイド」の麻薬王役のレイ・サヘタピーで開始早々テンション上がりました。

実は父親が裕福さを求めて悪魔と契約していたのが原因で、アルフィの実の母が死去し新たな家族にまで魔の手が…な内容で舞台が山奥の別荘ってこともあり、「死霊のはらわた」、「デモンズ」、「共喰山」辺りを彷彿とさせるシーンや演出があります。
その上ティモ・ジャヤント作品ってことで、ゴアも期待しちゃうのは当然かと思いますが、残念ながらそう言った残酷描写はかなり控え目です。
大体画面に映らないようになっていますが、それが逆に終盤の自分で顔の皮を全部引きちぎるシーンの強烈さを際立てているっちゃいる…のかな?
まぁどちらにしてもゴア描写が物足りなかったのは間違いないんですけれども。

恐怖演出はと言うと、中盤以降のある程度ジャンプスケアも狙った襲撃シーンよりも序盤に音もなく電車や病院内でフッと見た目がヴァラクや「デモンズ」っぽい巫女の姿が映るシーンの方が印象的でした。
ああいう敢えて映った瞬間にSEを入れるでもなく、日常シーンに紛れて導入する方が気付いた時にゾッとしますよね。

あと真っ先に取り憑かれた義母がこれまたハイテンションポゼッションしていて、やっぱこの手の作品はこういう役者がどこまで振り切った演技出来るかってのも大事よなぁと。

アルフィと義妹に確執がある反面、義弟とは多少は話せる間柄だったりと各々の細かい関係性はまぁ、思いの外活きて来なかったかな。
というか全体的にやり尽くされた内容ではあるので、やっぱりゴア描写しかりどこか突出した部分が無いとどうにも弱い部分は否めないですね。
でも自分の口から急に出てきた髪の毛に締め殺されるシーンは割と新鮮でした。
あと父をずっと憎んでいたアルフィが弱った父を目の前にして心の底から憎めなかった場面や、回想で明らかになる父の娘への想いとかは好きでした。

物足りなさはあれど、ホラーとしては全然楽しめる作品でした。でもティモさんにはもっとエグい作風のものを期待しちゃうよね。
因みに続編もありますが、こちらは海外のアマゾンプライムとかでしか今のところ観られないです。
続編もネトフリでええやん。