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キングスマン:ファースト・エージェントのRenのレビュー・感想・評価

4.0
前2作の要素はキングスマンのキの字くらいしか無いけど、すごく面白かった。この時代設定ならこれくらいのテンションが似合っているし、前二作とは別ベクトルのかっこよさがあって最後まで楽しめた。『キングスマン』の悪ノリは不要で、それでもちゃんとノれるエンタメになっている。

るろ剣の『~ The Beginning』を観たときを思い出した。同監督が同シリーズで、語り口をガラッと変えて地に足ついた作品を撮るんだ!と目をメラメラさせながら作ったことが伝わってくるのが嬉しい。
まるで演舞のようなアクションは今作も健在で天晴!中盤の文字通りのダンスアクションは目にも楽しいし、岩壁アクションはシリーズで最もハラハラさせてくれた。ラスト30分がずーっと最高。

だけど、傘やブリーフケースを模したスタイリッシュな武器の数々が見られないのは時代設定ゆえとは言え少し残念。『キングスマン』の鮮やかな戦闘はガジェットがあってこそ、みたいなところもあったので。

WWⅠが舞台で史実に則った部分が多いので、お話はずっと真面目。戦争の中で失うもの、依存と喪失と克服といったテーマ性もやはり真面目で、戦争映画としてちゃんと観られる部分もたくさんあった。
特に塹壕での一連のシークエンスはかなり『1917 ~』っぽいなぁと思いながらも、無音暗闇アクションなどシリーズとして新しいこともやっているので新鮮に映る。
前二作のある種の「軽さ」みたいなものを排除したからこそ描ける重さ。逆に言えば、あのテンション高めなド派手スパイアクションが誕生した背景には今作のような本物志向の戦争が存在した、という説得力があった。

今作を観た全員が語りたくなってしまうラスプーチン(リス・エヴァンス)。自分は歴史は全くの専門外ですが、高校生の頃に学んだラスプーチンのイメージそのままで動き出した興奮が確かにある。なんか汚くて狂人的で全然死なないという彼ならではのステレオタイプが魅力的。彼をもっと見たかった。むしろ彼が黒幕でよかった。彼を主役に添えた一作の映画を観たかった。

その他、
○ ポリー(ジェマ・アータートン)がかっこよすぎる。惚れるわ。
○ 一対一の剣術での戦いが非常に「パイレーツ・オブ・カリビアン」みたいだと思った。映写機越しの演出かっこいい。
○ 高所恐怖症をダイレクトに刺激するシーンもあって、でも自分はああいうのが大好物なので劇場の大スクリーンで観るんだった....!
○ 続編もぜひやってほしい幕引きだったけど、やるならば最後に出てきたアイツのキャラデザは変えてほしいかも。少なくとも自分の知っている顔には全然似てなかった。

【余談】高2のときの世界史の先生が授業で「実はラスプーチンはね....アレがデカかったんですよ」と色々教えてくれたおかげで彼の登場するフィクションを結構楽しめるようになったと今は思います。映画が大好きで、授業で『英国王のスピーチ』『ジョニーは戦場へ行った』を観せてくれた素敵な先生だったな〜。
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