TERUTERU

ザ・ピーナッツバター・ファルコンのTERUTERUのレビュー・感想・評価

4.0
 

ちょうど第92回アカデミー賞授賞式の日にも映画館へ、とてもおめでたい日には心温まる作品をと思い今回はこの作品だ。。。🎥🎞

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 この作品はアメリカの小説にある『ハックルベリー・フィンの冒険』の現代版ともいえる作品。物語はとてもわかりやすく、施設から脱走するプロレスラーを夢見るダウン症の少年“ザック”と漁師だが他人の獲物を盗み追われる身となった孤独の“タイラー”との出会い。そして「ザック」を探しにやってきた施設の看護師の“エレノア”この3人でザックの夢を叶える為に知らない世界との新たな出会いに導かれる旅と絆の物語である。ロードムービーとも言えるね。

 この作品で私が気に入っている所は2つある。
一つ目は“自然の風景”だ。舞台はジョージア州のサバンナ近郊、設定では田舎のようなところで大きな川があり漁が主な場所だ。劇中では3人が自作で作った船で川に飛び込んだりと意気揚々と自然を楽しんでる風景は日常でありえない姿だった。だがそこが魅力的であり、仕事や病気の事もなんのしがらみもなくただ自由に楽しんでいる3人の姿は私にとってそれがまた夢のような光景でもあった。
ちなみにこの舞台での撮影は6週間にもわたり、蒸し暑く雷雨も多い地で撮影は困難の事、だが今回メガホンをとった監督の“タイラー・ニルソン”とマイケル・シュワルツ“は「完璧なロケ地」と感激されたという。まさに夢の場所を追うのに相応しい場所でもいうのだろうか。。。ちなみにこの二人の監督は、長編映画は初というのにこの撮影舞台を選んだ事に素晴らしい監督だと私は思う。その結果、昨年開催された”SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)“映画祭で観客賞を受賞したとの、すごいね!お気に入りの監督になったよw✨

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 そして2つ目のこの作品で気に入ってるところは、このダウン症役の子“ザック”だ。主演の本名は“ザック・ゴッツァーゲン”もちろん役の名前と同じだ。この子凄いんだよ、自身も本当にダウン症なんだよ。紹介したいからこれは公式サイトを引用したもの。

【1985年生。幼いころから演技に夢中でドレイフォーズアートスクール演劇科を卒業。その後、サザン・ダンス・シアターに俳優兼ダンサーとして13年在籍。現在は非営利映画製作団体に所属し、インディペンデント映画などに多数出演している。障がいをもつ人々の芸術活動を支援する団体に積極的に参加しており、18年世界ダウン症財団で活動が評価された人に贈られるクインシー・ジョーンズ賞を受賞した。本作が長編デビュー作となる。】

 そう!そして本作がデビュー作!とても素晴らしい演技に胸を打たれた✨作中の夢を追うダウン症の子、これは現実も同じく「映画スターになりたい!」と夢を語るゴッツァーゲン。「それは叶いっこない」と監督のシュワルツ、だが「じゃあ、君たちが僕のために映画を作ってくれよ」と。この奇跡の出会いからこの作品が出来上がった。映画スターの夢を追う少年の物語を題材に脚本を作り現実の世界に叶えさす素晴らしい作品が誕生した。もちろん話しが幸運良すぎだろ、ありえないとも思えるかも知れないがそれはこの作品の良さなのだと思っている。幸せな光景だからこそ魅力溢れた作品に仕上がっているのだと思っている。作品と一緒にこの少年ザックの存在を是非皆に知ってほしい作品だ!

 ダウン症の子でも夢は叶っている、だから夢を忘れた人たちに観てほしい。この映画を観て考えてみて。一度そこで立ち止まってもいいし、そこで泣き崩れてもいいから。そしたら「自分は幸せかい?」と自分に投げかけてみて。シャイア・ラブーフが演じる“タイラー”も亡くした兄の事でつまずいて前に進めず立ち止まっていた。でもザックがいたから弟の様に接して自分が兄になろうと変わろうとしていた。なにが言いたいかって、「自分の役目」、「自分がこうなりたい」そんな簡単なことでいいから幸せだと思う物につき進めばいいと思う。世間がどうであれ幸せは自分でしか作れないのだから。

みて、こんなに頑張っている少年に自分は負けちゃダメなんじゃない?人生に勝ってこそその先の向こうにハートフルストリーが待っているのだから。

あと、この映画のネーミングセンス最高だね。リングで叫びたくなるよw🥊😀

2020/No.008
TERUTERU

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