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ザ・ライダーのhikarouchのレビュー・感想・評価

ザ・ライダー(2017年製作の映画)
4.2
見終わった後に知ったんだけど、これ半分ドキュメンタリーなのね。情報があんまりなくて全容を掴めていないけど、主要キャストは全員本人で、劇中で描かれる怪我や後遺症、妹の発達障害(?)、馬とのやり取りまで、全部ホンモノという。やっぱそうでしたか、という感想。そうじゃなきゃあり得ないもの、他の映画では絶対に見れないものが映りまくっている映画。

ロデオというカルチャーに全く馴染みがないので、こういう世界、こういう人生が存在するということがまず驚き。まさに異世界。(そういえば、ダラス・バイヤーズ・クラブのマコノヒーが演じた役もロデオライダーだったね。)

主人公ブレイディと馬たちとのやり取りが素晴らしい。本当に心を通わせているからこそできるシーンの数々。

非常に美しい夕暮れや朝焼けのマジックアワーを背景に、問いかけてくるテーマは、"人はなぜ生きるのか"
足を怪我して走れなくなれば殺されてしまう馬との対比と、自身よりも更に重い後遺症を負った憧れのレインとの対比から、自分自身の人生の意義を問い続ける。
(Youtubeで検索したらレイン・スコットの怪我する前の映像が出てきた。映画の世界と実世界が繋がる、とても不思議な体験だった。)

終盤、父親の反対を振り切ってロデオに臨もうとした末にとる主人公の行動、問いへの答え、その表情にしびれた。またこのシーン、遠景で家族と触れ合うシーンがめちゃくちゃに美しい。

非常に静かでシリアスな映画だが、重く暗いということではなく、最後には希望の光も見える気がする。心に染み入るとても大好きな映画だった。やはり、馬映画にハズレなし!クロエ・ジャオ初体験だったけれど、ノマドランドも楽しみになった。
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