mizuki

The Strange Thing About the Johnsons(原題)のmizukiのレビュー・感想・評価

3.8
アリアスター監督の卒業制作。息子が、実の父親に性加害をする話。

奇妙さと、画の美しさ、既に発揮してるな〜って、うんアリアスター作品だなという納得感と、何でそんな設定にしたんだよ…という大き過ぎる疑問。30分しかないけど、なのか、ないから、なのかわからないけど、セリフでは語り尽くさず描写一つ一つに、よく見てたらちゃんとわかる意味を含ませていくじゃんとは思った。

感情で考えると本当に意味わかんないけど、生物、遺伝子とかの観点から考えればまあわからなくもないというか…。
人は有性生殖だけど、結局無性生殖の細胞が寄り集まってできたものと考えることもできて(共生説の発展系?)、同性の親子どうしの行為がありかなしかで言ったら、「なしってことはないんじゃない…?」って感覚。

なんで息子が父親に性的感情を抱いたかも色々考えてみた。本作で父親は、著名人だった。作家。親がめちゃくちゃできた人間だったら、強い憧れの感情を抱き、それが発展したらそうなるのか?と。親がキムタクだったら娘惚れるだろうなとか、そういうのは一般的に思ったりすることでもあるし。
近親相姦って、弱い個体になってしまうからあまり起こらないようになっているようだけど、「一つのすごい個体があったら近親相姦にも打ち勝ってしまうのでは?」という想像をしたこと、一度はあるな。近親者なのに何で…というのもそれで一応説明つくのかな。

ダメと言われたらやりたくなる、の人間の心理を、監督はよくわかっていて、この世の全てのタブーを描いてやる!という気概なのか。村田沙耶香さんと同じ匂いを感じる。なんでもありじゃん、を映画の世界でやるという方法、実はめっちゃ近道だと思う。平和への。
mizuki

mizuki