アリアスター監督の卒業制作。この頃から彼の作家性はいい意味で変わっていないような気がします。徹底して「家族」というものへの愛憎渦巻く嫌悪感を描いていて好きです。彼の人生、とりわけ幼少期について、知りたくなります。どんなふうに生きてきたのだろうか…。
鍵のかかっていないドアを許可なしに開けてしまったことを詫びる父と、鍵のかかったドアを無理やり開けて入ってきて凶行に及ぶ息子。客観的にはどちらが悪しき存在かなんて分かりきっているのに、どうして当事者はこうも苦しめられるのでしょうか。閉塞的な環境や社会的地位、そして家族ゆえの、本来不必要なまでの愛…気持ち悪いけどこれが人間なのでしょうね…。
あくまで自分の嫌悪感や恐怖というものを大切にしたいです。でもそれが難しい。せめて他者の苦しみに敏感で誠実であれたらと思います。