てっちゃん

ジャネットのてっちゃんのレビュー・感想・評価

ジャネット(2017年製作の映画)
4.6
人は待ち遠しいものがあるときは、どうしてこんなにもわくわくするのでありましょうか。
そんなわくわくが止まらなく、思わず公開初日に前のめり鑑賞したのが、本作と次作。

いつものミニシアターで、上映1時間前にチケットを買って(ネット予約できないところが愛おしい存在)、いつもの喫茶店でアイスコーヒーとサンドイッチを食べ、さあ上映開始です。

と思ったけど、これには触れないといけない。
"客層がやばすぎる。"
いつものミニシアターは、コアな作品をよくやる劇場だから、所謂シネコンに来るような客層ではないのが常なんだけど、それにしても今回の客層はやばいぞ。

アイアンメイデンフル装備で来ている素敵なメタルヘッズおじさまがいて堪らんし、上映中ぼそぼそずっと喋っているおじさんもいるし、上映後に喧嘩してるおじさんたちもいたし、おじさん率95%のやばい空間。
しかもそのおじさんたちが見事に電波、電波している素敵空間。たまらんでしょ。

こいついつまでどうでもいい感想書いてるんだよ、と思われ兼ねないので、そろそろ感想を。

私が思っていたとおり、本作は最高に"変"。
ジャンヌダルクを描いている作品はいろいろあるけど、本作はジャンヌの戦への旅立ちまでの少女時代を描いている。

演じるのは素人さんたち(しかも撮影現場近くで見つけてきたという素人さんっぷり)。
その人たちが、ミュージカルに興じながら、不可思議な踊りをしながら物語は進行していきます。
しかも登場人物が必要最低限であり、その誰もが癖があるのなんの。
これは"変"なものが好きな人には堪らんわけです。

印象に残ったシーンをいくつか。
叔父さんがラップしていて好き(プロのラッパーなんだって)。
乗馬しようとして馬の背中から転倒したり、坂道から転んだりして最高だろ。
なんでジャネット応援しようとするんだよ、良い人すぎるだろ。
手振り身振りが最高すぎでしょ。
叔父さんが面白すぎる、存在だけで(画面に出ただけで)この人普通そうだけど実はやばいやつ感すごいだろ。
劇場で笑ったの私だけだったけど、これ笑うところだよな?絶対面白いでしょ。
この叔父さんだけで観る価値あり。
なかなか断言しないけど、これは断言できる。

あと神様たちに会うシーン。
こんな笑えるのに笑えないのってある?ってくらいに素敵ゆるゆる演出。
もう大好きです!!ってなった瞬間でした。

ジャネットが3年経って歌唱力、ダンスのキレ、ヘッドバンギングが上手くなっている具合、最高すぎるだろ。

というかそもそも劇中の音楽を担当しているigorrrっていうアーティストを初めて知ったのだけど、これが私のツボにガチっとはまった!!
メルヘンな調べからいきなりブラックメタル節に転調したり、ノイズもありの、とっ散らかってるんだけどそれが類い稀なセンスにより、ぎりぎりでつなぎあっている感じ。
しかも本作の作風ともガチっと決まっており、しかも不可思議ダンスとも相性良いもんだから、ブリュノデュモンさんインタビューで語っていたように、イメージ通りだったわけだ。
当然のごとく、igorrrの世界観にどっぷりと浸かっていることは言うまでもあるまい。
こうした音楽の出会いも素敵よね。

さ、続き続き。
たぶん祈りのシーンをヘッドバンギングで表現しているんだろうけど、たまらんですね。
祈りですぜ?しかもシスター姉妹(この2人は本当に姉妹だそうで、本来は1人の役柄だったんだけど、監督さんがこの姉妹の才能(歌唱はもちろん、楽曲メロディもこの姉妹が考えたそう)に惚れ込んで2人役にしたってくらい)にヘッドバンギングさせるんだよ。

何回も言うけど、不可思議ダンスのお見事さよ。
最初は笑えるというか、学芸会の発表でも観てるんかいなと思うんだけど、だんだんと癖になる感じたまらんでしょ。

これ間違いなく後世に語り継がれるカルト作品として残ることでしょう。
大好きな作品が生まれました。

さ、お次は"ジャンヌ"です。
てっちゃん

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