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ホテル・ムンバイのBATIのレビュー・感想・評価

ホテル・ムンバイ(2018年製作の映画)
4.6
試写会にて。想像以上どころか本当に面白かった!ムンバイでのテロはトラウマになるレベルで全編非情なままに行われる。群集劇としても秀逸で「ダイ・ハード」の魂がここにあることを感じた。今年最も怖ろしく哀しい作品。

この映画の凄さは単なるテロ攻撃にあったことをを再現していることだけでなく、テロリストの少年たちの背景には想像を絶する貧困があり、それが彼らから教育を受け一般的な教養や知性を受けることなく育ったこと、そしてその貧困を生み出しているのは何処なのかということを突きつけていることだ。死をもって償うべき人殺したちなのに、それご悪かを考える知性すら与えられなかった子供が、ある局面での会話、選んだ行動にすら涙がでる。敵は本当に目の前の人間たちだけなのか?

しかしこの映画はデヴ・パテルの演技が素晴らしいです。彼の優しさとその場でできる最善のことをしようとする姿に何度も泣いてしまった。

本当に怖くて追い詰められるんだけど、映画としていちいち面白くてですね、回収のために張られる伏線ではないんですが色々なディテールが活きていくところが、ホント「ダイ・ハード」っぽくて、それでも史実ベースの作品だからオマージュとかではなく情報が積み上げられていくところがとても面白い。

出てる人みんな良かったんだけど、アーミー・ハマー出てるってしらなくて、「⁈」となって試写室で姿勢を正してしまいましたよアミハマさん...。

いや、「ホテル・ムンバイ」観ると貧困が奪うのは単なる経済力だけではなくて、そこで育つ子供達の善悪を判断する力、教養、想像力なんだと思い知るし、これからの日本の未来を思うと本当に暗くなるのよ。
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