ノラネコの呑んで観るシネマ

ホテル・ムンバイのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

ホテル・ムンバイ(2018年製作の映画)
4.5
2008年に起こったムンバイ同時多発テロで、犯人グループに襲撃されたタージマハル・ホテルの一夜を描いた群像劇。
凄まじい緊張感が2時間の間ずっと持続する、とてつもなく恐ろしい擬似体験映画だ。
突然の出来事に取り残された数百人の宿泊客たちと、彼らを守り通そうとするホテルマンたちの矜持。
犯人たちの目的は身代金ではなく、一人でも多くの異教徒を殺すことだから、交渉することも出来ない。
ただひたすら、迷路のような巨大なホテルの中で、犯人たちの目を逃れ、隠れるしかない。
実話ベース故に、いわゆる“フラグ”も容赦なく裏切ってくるので、1秒たりとも気を抜けるところが無く、観終わってどっと疲れた。
それにしても、ムンバイ警察ちょっと貧弱すぎだろう。
人口2000万近い大都市なのに、対テロ特殊部隊も無く、デリーから呼んで現場に到着するのに半日とか。
インドっぽいと言えば、そんな気もするが、もうちょっと対策しとこうよ。
貧しさゆえに、過激思想に染まった若いテロリストたちを洗脳し操り、自分は逃げおおせた「声だけの黒幕」が一番おぞましい。
貧困こそが、悪魔の仕掛けだということがよく分かる。
このシチュエーション、もし自分だったらどうするかと思うと、背筋が凍る。
見応えたっぷりの力作。
ブログ記事:
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