空海花

ホテル・ムンバイの空海花のレビュー・感想・評価

ホテル・ムンバイ(2018年製作の映画)
4.7
2019MyBest振り返り


2008年11⽉26⽇。インドで起きた同時多発テロ事件発生時、テロリストに占拠されたムンバイの五つ星ホテル、タージマハルホテルが舞台の作品。

軍隊や自衛隊、消防隊、レスキュー、警察など、特定の職種の人が身を挺して市民を守ろうとする姿には今まで何度も胸を打たれてきた。
私にとって、それはほぼ映画体験であるが
時に書物であったり、あるいは報道で見聞することもある。

これはホテルマンがお客様を守ろうとする
職業そして人としての信念が貫かれた物語、
しかも実話である。

父と母も赤ちゃんを守る。
愛する人は守りたい。

逃げることもできたし、暴力に対しては立場は客とは変わらない。
それでも奇跡を起こせたのは、日常の職業理念の実施や人への細かい配慮、寄り添う精神と力が培われていたということだろう。
これは素晴らしいことだと思うし
あらためてこのヒーロー達に賞賛を贈りたい。
そして「プライド」とか「誇り」という言葉はこういうことなのだと言いたい。

自分が良く知りもしない宗教にとやかく言うことはできないが、これは宗教を利用しているだけだと思う。若者を利用している。
ここに至る歴史はそれはあるだろうが、
この行為が許される理由にはならない。
何の容赦もないテロ行為の描き方も評価に値する。
観ていて辛かったけれども。

ターバンや靴の件にリアリティを感じる。
主人公アルジュンの献身と
料理長のまとめる力の演技がすごかった。

ヒロイズムであってヒロイズムではない
いつ自分が巻き込まれないとも限らないというメッセージも隠されているようで
心がざわつく。傑作。


2019劇場鑑賞94本目
2019MyBest⑤
空海花

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