リコリス

ばるぼらのリコリスのレビュー・感想・評価

ばるぼら(2019年製作の映画)
4.4
強いて言うと、主役二人が上品過ぎ。清潔なドロドロ(それも良いけど)。全てが造り物めき嘘臭いが、主役二人の熱量とドイルの魔力で見入ってしまった。

ミューズは一番汚らしい都会に住まう野生のオンナ。ミューズに魅入られると芸術は高まっていくが社会性が削られていく。

新宿の目とヴェルレーヌ、フリージャズ、眼鏡をかけると手塚作品そのもの、拾われたミューズ、瓶からストレートで飲むばるぼら、四谷先生(って『偶然と想像』二作目でも…偶然に瀬川先生その後を想像)、常にオンナに誘惑され襲われる男、朔太郎の泳ぐ人、政治は色、恋愛は血と肉で作られる最高の芸術品である@谷崎潤一郎、万年筆と「くしゃがら」支配の家、顔に脂の浮いた年齢不詳ゴロー、酒で相手の度量を量るムネーモシュネー、身を滅ぼしてもミューズと添いたい作家、独占したいから潰す、黒魔術?、軟体動物のように縛るある意味一番怖い編集者、呪いの人形、電車下の屋台おでん、理不尽な暴力、うねる山奥へ続く道、二人だけの場所は心中、雲の流れとネクロフィリア、紙に鉛筆で繋ぎ止める。

その床で書いた物語を読みたい。
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