リコリス

劇場版 再会長江のリコリスのレビュー・感想・評価

劇場版 再会長江(2024年製作の映画)
4.7
リョウ監督には今後も10年毎に再会定点観測していただきたい。

純粋に胸に響く。ずっとずっと観ていたい。観ながら、造っては壊すエネルギーとスピード(三峡ダムと江辺学校)、あまりに多様で広い大陸の凄さに圧倒された。大陸を繫げるのは言語や文化や政治ではなく長江の流れ。最後に源流一滴から下流の上海まで一気に見せられ、極東の島国は到底かなわない気がした。

10年前とうってかわり、流暢に北京語コミュニケーションをとる監督。出てくる皆さんが今の場所で必死に地に根を下ろし、社会の変化に立ち向かう生き様が、とてもとても胸を打つ。(青海省のゲルで暮らす男性のチベット語で語る郷土愛は詩のようだった)。

だから観ている自分の10年間も重ね見て、本当に私は生きてきたのか、なんだか薄っぺらく感じ、寂しくなった。棒棒(バンバン)のお爺さんは身体をはって生きるしかなかったと語るが、四人の子を荷運びで育てた、なんと美しい誇らしげな表情なのか。

もちろん、描かれていないこと(描きたくても描くことを許されないこと)にも思いをはせるのだが。

予想以上に映画館では中国語が飛び交っていた。
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