リコリス

ジョニーは行方不明/台北暮色のリコリスのレビュー・感想・評価

4.3
距離が近すぎると衝突する。

まっさらに予備知識ゼロで台北が見たくて見始めた。ストーリーがあるようでない。ただ染み出る孤独感。

近過ぎる人間関係から逃げるホステルで働くヨガ教師、両親の縛り付けから逃げる修理工はエンストするスズキの車に乗り、兄父の不在を心配そうな母親から逃げる発達障害的言動な少年。

その3人の日常。バナナをひたすら食べてしまう認知症のお婆さん。廟の屋根の鳳凰に留まる逃げ出したインコ。逃げられない水槽の魚。曲りくねる路地。最悪の父の誕生日。近いほど愛し方も忘れる。最後の夕暮れ、何処へも行けない渋滞の坂道でエンストする車。

途中で止めても良いような、でも何となく最後まで見てしまい、自分の日常の閉塞した疲労とふと感じる孤独感をジワジワ感じさせる不思議な映画。
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