ヒノモト

オオカミの家のヒノモトのレビュー・感想・評価

オオカミの家(2018年製作の映画)
4.1
チリに実在したコミューン「コロニア・ディグニダ」にインスパイアされたチリの2人組の映像作家によるストップモーションアニメーション作品。

コロニア・ディグニダについて、最低限の知識は必要ですが、大変面白かったです。
オオカミと集落から逃げてきたマリアの間にある支配するされるの切れない関係性が常に存在し、逃げた先の一軒家において、子ブタに対して支配的な関係性を築こうとする、主従関係でしか相手との距離を測れない=そういう閉ざされた教育しか受けていないことの裏返しとして描かれていて、その他隠喩的表現が盛りだくさんで、常に目が離せませんでした。

ストップモーションアニメーションとしても、単なる特定のキャラクターを動いているように見せるというアニメではなく、造形が一定の形をしていなくて、壁面と立体造形を同時に描き、常にイメージを可変させながら、同じキャラでも場面によって造形が変わることで、違った側面を見せる働きに見えて、映像的にも大変興味深いシーンの連続でした。

物語自体は、フェイクプロパガンダ映画とも言える、奥底に感じる怖さを「三匹の子ブタ」などの寓話をを引き合いに出しつつ、シニカルにまとめ上げていて、アート色が強めながらも、残酷な大人向けアニメーションになっていて、チリ国内の過去を同郷の作家がこのような形で長編として、作り上げたこと、想像力の高さは、素晴らしいと感じました。
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