ブタ野郎

ブラインドスポッティングのブタ野郎のレビュー・感想・評価

ブラインドスポッティング(2018年製作の映画)
4.0
相当面白い!!

もうのっけから引き込まれた。
保護観察期間が終わるまであと三日から始まり身内同士の銃の売買を越えて赤信号の長さに多少のイラつき。ここで小さな事でヒヤヒヤさせてからの警察官が黒人への発砲。
もうそこからはノンストップなテンポ感でグイグイ見ていける。全体的に緩急の付け方がかなり冴えてる。
ポップで会話劇やキャラクターたちのユーモア部分も好みだったから全部含めて楽しかった。
子供の機能性も抜群。無邪気でかわいくて守るべき存在で緊張感を高めるシーンでは本当にヒヤヒヤとさせてくれるし、撃たないでのシーンは胸が痛い。

マイルズとコリン、どちらにもそれぞれに葛藤部分があり、どちからというとコリンの視点に寄った物語でマイルズは爆弾的な物語上での機能をもっているのかと思いきやしっかりマイルズも主役として成り立ち爆弾は全員抱えていた。

ラストのラップは握り拳で眉間に皺を寄せながら見れる。悲痛な叫びが画面から飛んでくるような感覚。個人的にはその後のシーンで安堵と2人の友情を感じれて深い感動が味わえた。

どういう町なのかをしっかりと理解していないので、やや乗り切れない部分もあるのかな?と思っていたが、杞憂だったかも。もちろんバックボーンをしっかり頭に入れたほうが理解や感情移入はし易くなると思うけど、割と見ていれば入ってくる情報は多く、社会派をになった映画としてもエンタメシーンは多めだしユーモアセンスは爆発しているからしっかりと笑えて感動も味わえちゃう。

カットの早さや演出はスタイリッシュで今時な素早いテンポ。映像相まって見ていて気持ちがいい。
エンタメエンタメした会話劇や行動は素早いテンポでオチまで綺麗にサクサクすすみ、そのテンポのまま緊張感のあるシーンへ移行。その瞬間にずっしりと嫌な雰囲気をたっぷり見せられて一気に頭が冷える。

コリンが感じる緊張の演出が良かった。ありきたりな演出だけれどもこの映画内のテンポから浮いていて良い意味で目立つ。それだからこそ急な緊張は感覚で見れる。
パトカーの音や周りの音が遠くなる。

コリンとマイルズの対比的なキャラクターもバディとして綺麗だし、友情面での衝突や固まりは秀逸。ニガー論争はグッと来た。
マイルズのキャラクターは好感度こそ高くないかもしれないけど、コリンにあたるスポットライトが多目と考えると抜群に機能していて不憫でありながらも個人的には憎みにくい良いキャラクターだと思った。

ブラインドスポッティングの意味やそれについての話し合いもじわじわときて見終わった後の満足度はかなり高め。かなり面白かった。

好きな映画になった。
ブタ野郎

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