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ジョジョ・ラビットのhynonのネタバレレビュー・内容・結末

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

いやぁ…
予想もしなかった設定・展開で、話の大きさに驚いた。

ポスターの絵や、序盤のコミカルな雰囲気とギャップのある重い内容。

重い内容ながらも、可愛らしい色使いなどがお洒落で、絵的に重苦しくなかったのが印象的。

冒頭から、ジョジョの神(=イエス)のようでありイマジナリー・フレンドのような立ち位置で現れるヒットラー。
純粋にヒットラーを信じ切っているジョジョが痛々しい。

テロリストの集団は、幼い子供にまずトカゲなどの小動物を殺させ、次第にネコなど大きな動物を殺すようにして人間を殺すことに対する抵抗心を失くさせると聞いたことがあるけど、軍隊も同じことをするんだな。

教育っておそろしい。
国によって偏った思想を叩き込まれたら、親でさえそれを変えることはできない。

しかし、ユダヤ人少女との出会いがジョジョを変えていく…。

自分が固く信じてきたものが揺らぎ始め、壊れていく衝撃。
それまでの自分が否定される痛み。
何が正しいのか、何を信じればよいのかわからなくなる戸惑い。
わずか10歳でそれを経験しなければならないとは。

トム・クルーズ主演の「7月4日に生まれて」では、愛国心を叩き込まれて育ち、意気揚々とベトナム戦争に行ったアメリカ人青年が戦争の現実を目の当たりにし、自らも半身不随になって帰国した後、反戦活動家に転身していく姿が描かれていた。

精神的な変遷は本作と似ているものの、この映画では子供を主人公にし、コミカルに可愛らしく描くことで重苦しさを緩和している。
それでいてメッセージ性は損なわれていないのが素晴らしいと思う。

自分の目で見ること。
自分の頭で考えること。
ミサイルよりも銃よりも強いものがあること。

とてもハッピーエンドとは言えないエンディングながら、ふたりが踊り始めるラストには、希望が見えた。
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