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ジョジョ・ラビットのNEWおっさんのレビュー・感想・評価

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)
4.5
「手榴弾は遠くに飛ばせ」

第2次世界大戦時のドイツに生きる10歳のナチ派を主役に据えたストーリー。第44回トロント国際映画祭で最高賞の観客賞を受賞。監督は「マイティ・ソー バトルロイヤル」のタイカ・ワイティティで、劇中でもヒトラー役で出演している。

このヒトラーが今までに描かれた役とはまた違う大胆なアプローチで良い。てかこれ少年の妄想ていう設定だから似ても似つかない役にしたんだろうか。独裁支配者という雰囲気は微塵もなく、コメディリリーフに徹しているが、ラストは少年の妄想ヒトラーからの脱却という重要な役を担っているのもまた良い。

とヒトラー役の感想から書いたが、映画としても面白かった。これジャンルはコメディで良いんだろうか。でも恋愛あり、戦争の描写もあり、シリアスな場面も多々ありで色々とミックスされているが、ごった煮ではなく上手いこと調理されてるような感覚。

主人公のジョジョの大人びた生意気さも良いが、ユダヤ人の少女エルサの芯の強さも良い味出している。この2人の関係が軸として話は転がるが、ジョジョが段々とエルサに惹かれていく様が上手く描かれている。終盤、戦争が終わりエルサが外に出て行く時とか最高だ。

ノリが人を選びそうだし、冒頭のウサギをくびり殺す下りとかで脱落する人もいそうではあるが、そこで切らずに是非最後まで見て欲しい。なんか話的にバッドエンドな雰囲気を感じたが、そうじゃないコトだけは言っておく。むしろ爽やかさすら感じる幕引きで余韻が残った。これは傑作でしたわ。