3104Arata

新聞記者の3104Arataのレビュー・感想・評価

新聞記者(2019年製作の映画)
3.4
【国家の陰謀に揺さぶられる人間を観るドラマ】
・2019年公開の日本の社会派サスペンスフィクション映画。
・東都新聞社の女性記者である 吉岡エリカが大学新設計画に関する記事の調査を進める中で内閣府の存在が出てくる。一方、政権に不都合な情報をコントロールする立場の内閣情報調査室に所属する若手官僚 杉原は自身の元上司である神崎という男の自殺をきっかけに自身の仕事内容への迷いと国が隠そうとしている事実への疑念が生まれる。次第にその2人が絡み合っていき、国の陰謀と向き合っていく という大枠ストーリー。

[お薦めのポイント]
・陰謀論にリアリティが増してワクワクする
・サラリーマンであることの弱さを突き付けられて危機感を覚える
・頑張る吉岡エリカを見ると、自分も頑張らねばと思わせてくれる

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[物語]
・モヤモヤオチです。が、そこに行きつくまでの人間ドラマは骨太でした。登場人物の放つ言葉が直接的でなく、匂わせ風なので彼らが心の底で何を感じて、何をしたいのか、を想像しながら観る面白さがありました。

[演出]
・内閣情報調査室の部屋の雰囲気が暗すぎて…やっていることのダークさを視覚的に教えてくれる表現で非常に良かったです。本当の内閣情報調査室もこんな感じなんでしょうか?いやきっと違うと思いますが笑 でも、だからこそそのように魅せるのが演出なのでしょうね。
・吉岡エリカのアップショットを多用しており、彼女の心情を言葉で語らせず、表情で語らせようという意思を感じたところが面白かったです。

[映像]
・新聞社周辺ではコントラスト強めの雰囲気、内閣情報調査室周辺では淡目のブルー、日常生活は豆球系の暖色。ときっちり分けられた映像になっていて、目で見てその空気間を掴めるところが好きでした。

[音楽]
・際立って感じたことはありません。

[演技・配役]
・全体的に安定感ありますが、際立って感じたことはありませんでした。ただし、北村有起哉さんの「新聞記者としてのプライド」「部下思いのやさしさ」「長いモノには巻かれることも必要」「人よりネタ」といういくつかの顔を持ち、その葛藤の中でも、辛さを見せずに出来る限りスマートに処理していく行動、の渋さには痺れました。

[全体]
・まず、「国の陰謀が一体何なのか」というサスペンス要素に惹かれて、すらっと観れます。
・細かなところで日常生活に役立ちそうな気持も与えてもらいました。例えば、自殺した父にとらわれたままでいる吉岡エリカさんが、自宅でも深夜まで一人淡々と仕事をし続ける様が、自分自身も「甘えてないで同じくらい頑張ろう!」と奮い立ったりとか、自殺した神崎さんの経緯を知ると「思考もサラリーマンでい続けてしまうことは首根っこを掴まれた状態であり、ある日突然身動きすらできない危険性がある…」と今後を考えてみたりとか、国の陰謀を知ると「やっぱりそういうことって少なからずありそうだよねぇ…」とワクワクしたりとか。
・何より、賛否が分かれそうなオチ。私はオチだけはピですが笑 でも一度鑑賞できてよかったです。2021年にはNetflixでドラマ化もするそうなので、それもまた観てみたい!と楽しみになりました。ありがとうございました。

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