bowcat

新聞記者のbowcatのレビュー・感想・評価

新聞記者(2019年製作の映画)
4.5
こんな途轍もない大きな渦に
ひとりの人間が巻き込まれたら
それはもう恐ろしく潰されても
仕方ないこと

国家も世論も作られるもの
正しさだけで自然と作られる
そんな綺麗なものではない

よくこの作品を監督されたと思う
腑抜けのマスコミへの警鐘でもあり
自民党の独裁国家である日本の政治
官僚の体制、全てとは言わないが
当たらずとも遠からず
平和、経済成長それだけを追い求め
目が見えなくなってしまった国民
目を覚まさせる役目のマスコミが
国家の顔色を伺っていては意味がない
そのことにも危機感を感じないほど
この国の国民は飼いならされている

最後は自分を信じて疑えなかった
そんな松坂桃李の情けなさ
守るべきものを持ってしまった弱さ
それは人として仕方ないことだ
「ごめん」

この映画が多くの人に評価されたこと
日本アカデミーも賞を与えたこと
何よりの救いだと思う
若い世代に変えて欲しい
簡単に流れに乗らない
自分を持った人々が多くなることを願う

室内での光の取り込み方が
さすが今村圭佑さん
暗い雰囲気の中にきちんと描いてる

日本映画でこんなに内容攻めた作品
ある意味『愛のコリーダ』
bowcat

bowcat