Nana

ギレルモ・デル・トロのピノッキオのNanaのレビュー・感想・評価

4.2
ギレルモ・デル・トロ監督のストップモーションアニメ。
誰もが知っているピノッキオとは違う、ダークでせつない作品で、泣けなかったけどジワジワ来ました。

私が好きなのは、まずピノッキオのルックスとキャラクター。
ディズニーのピノッキオも好きだけど、もっと木彫りで人間からは程遠いルックス。
本当の子どものように、好奇心旺盛でやりたい放題。
ネタバレになるから書けないけど、最後までジーンとしました。
死後のウサギさんたちが可愛かった。

次が魅力あるキャラたち。
酔っ払いで怒りん坊なところがあるゼペット。(声はデヴィッド・ブラッドリー)。
青くて怖かったけど、イギリスなまり知的なセバスチャン(声はユアン・マクレガー)。
ヴィランだったのに途中から友達になるスパッツァトゥーラ(猿だけど声はケイト・ブランシェット様!)。
ギリシャ神話に出てくる怪物みたいな木の精霊と死の精霊(声はティルダ・スウィントン)
主要キャラだけじゃなく、ヴィランや脇役まですべてリアルで魅力的なキャラでした。

ピノッキオとゼペットの関係性も良かった。
最初から仲良しじゃないし、すれ違いがあってうまく行かない時期もあるけど、セバスチャンが言うとおり
「ひどいことを言うことがあっても本心ではない、本当は愛している」ってことを、じっくりわからせてくれる。
そして、自分が望む子どもじゃなくて、そのままの子どもを愛することの美しさも。

設定がムッソリーニ時代のイタリアで、上からの命令に盲目的に従うことの無意味さを描いているのも良かった。
今までのピノッキオは、学校サボったりビール飲んだりして、大人の言うことを聞かない子がロバにされたけど、大人が言うからって戦争に向かうことが正しいとは限らない。
デル・トロの得意な異形のヒーローやヒロインが語る真実に心打たれました。

音楽はシェイプ・オブ・ウォーターのアレクサンドロ・デスプラ。突然ミュージカルになって驚くけど、ピノッキオのピュアな声とダンス?が染みました。

ディズニーのピノキオも大好きだし「星に願いを」も大切なナンバーですが、デル・トロらしさがあふれたこちらも大好きになりました。
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