dai

マルモイ ことばあつめのdaiのレビュー・感想・評価

マルモイ ことばあつめ(2018年製作の映画)
4.6
大好きなユ・ヘジン主演最新作。

マルモイとは辞典のことである。

世界大戦中の朝鮮半島は大日本帝国による支配の下、創氏改名が行われ、朝鮮語の廃止と日本語の公用語化が進んでいた。ユ・ヘジン扮するパンスは二人の子どもの父親でありながら、定職になかなか就けず、スリで生計を立てていた。ある日、盗んだ鞄の持ち主は、朝鮮語学会のジョンファンのものであった。ジョンファンは朝鮮語を守るため、文献を収集しており、辞典作りを画策していた。パンスは妙な縁からジョンファンのもとで働くことになるのだが、、、

言葉は文化を形成し、また言葉は民族のアイデンティティである。支配者側はその民族意識を根こそぎ奪うために言葉を剥奪する。その昔、アジアを旅行し、日本人観光客が現地の年配の人と話す際、あまりの日本語の上手さに称賛を送ると、彼ら/彼女らは覚えたくて覚えたわけではないと語った、なんていうエピソードを聞いたことがある。朝鮮の人々にとって朝鮮語を剥奪され日本語を強要されたことが、どれほどの苦痛でどれほどの侮辱だったかが伝わってくる。

ユ・ヘジンは虐げられる労働者階級の役をやらせたら右に出るものがいない。馬鹿だけど情に熱い男役は、もうユ・ヘジンのものでいいと思う笑。

いい映画でした。
dai

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