ベべべっち

マルモイ ことばあつめのベべべっちのレビュー・感想・評価

マルモイ ことばあつめ(2018年製作の映画)
4.4
「私、朝鮮語話せません」と、日本語で答える朝鮮の子ども。

これはめちゃくちゃ良かった。
日本人だからこそ、、、
とまでは言わないけど、日本人である以上観ておいて損はないかも。

時代設定は1940年頃の日本の統治下に置かれた韓国(朝鮮)。(以後、韓国)
日本によって奪われようとした朝鮮語を守り抜く為に闘い、朝鮮語の辞典を作ろうとした人たちの話。

映画なので盛っているのか実際にそうだったのかは確かめようがないけど、一言でいうとエグい。
学校で日本語を話すことを強制させられる韓国人の子供たち。
朝鮮語を話すと殴られ、日本名に改名させられる。
主人公の息子は『カネヤマ』と呼ばれていたり…
学校でえらい目に合っている息子は、来年入学する妹に日本語を教え込むのに必死。

そんな子どもたちの、日本語どころかハングルも読めない父親をユ・ヘジンが演じる。

息子の授業料もろくに払えない主人公の父親が、裕福そうな男のカバンを盗もうとする。
男は朝鮮語の辞典を作ろうとしていた出版社の人物で、主人公もそこで働きながら協力することになる…というストーリー。

しっかりとしたテーマの中に、ユーモアとシリアスが程よく混在しているという、個人的にめちゃくちゃ好きな系統の作品だった。

日本の統治下にあり、日本人の警察にはすぐに銃を向けられたり殴られたりで普通なら笑えない展開のはずなのに、ユ・ヘジンが何回も笑わせてくれる。
もちろん、もう一人の主演のユン・ゲサンも良かったのだが、やはり今回はユ・ヘジンかなぁって思う。
まず、面白さは文句なし。顔も声も面白い。観た作品でおもんなかった事ないんじゃないかな?ってぐらい。

今作ではそのユ・ヘジン演じるキム・パンスの視点で、秘かに朝鮮語の辞典作りをしている出版社の様子を見ることができる。
ハングル文字による出版物も抑制されていく中で、朝鮮語の辞典作りなど言語道断。
まさに文字通りの命懸け。

ラストに向かうにつれてどんどん引き込まれていった。
引き込まれ過ぎて、日本がどうとか韓国がどうとか自分が日本人とか忘れて、とりあえずユ・ヘジンを応援してた。

言葉が民族の心を作る。
民族の心を忘れない為の말모이 (マルモイ/言葉集め)
中々に深かった。