てっぺい

2分の1の魔法のてっぺいのレビュー・感想・評価

2分の1の魔法(2020年製作の映画)
3.5
【足映画】
“男版アナ雪”と称される、魔法で繋がる兄弟の絆。監督の実体験に基づくラストは、そんな兄弟愛の本質を見るよう。個人的には下半身だけ蘇る父との“足でとるコミュニケーション”の表現が斬新すぎて、そのインパクトを覚えておきたい笑。
◆概要
「リメンバー・ミー」のピクサー・アニメーションによる長編作品。2020年8月21日公開。
監督:「モンスターズ・ユニバーシティ」ダン・スキャンロン
出演:「ジュラシック・ワールド」シリーズ クリス・プラット、「スパイダーマン」トム・ホランド、(吹替版)城田優、志尊淳
◆ストーリー
かつては魔法に満ちていたが、科学技術の進歩にともない魔法が忘れ去られてしまった世界。隠れた魔法の才能がある少年イアンは、「父を24時間だけよみがえらせる魔法」を試すが失敗。父を半分だけの姿で復活させてしまう。イアンは好奇心旺盛な兄バーリーとともに、父を完全によみがえらせる魔法を探す旅に出るが……。
◆見どころ
男版“アナ雪”と言われるほどの兄弟愛。羨ましくなるほど、でもどこか素直に共感できる兄弟の熱すぎる絆が見ていて微笑ましい。魔法の不思議な映像美はもちろん、個人的には足半分の父と延々と旅する絵面がツボ笑。その父に会うための冒険が、転じるラストもいい。

◆以下ネタバレ

◆兄弟愛
魔法を軸に繋がる兄弟の絆。アナ雪ほど魔法が次々と飛び出し助け合う訳ではなく、兄弟で魔法を手に入れ実現するために奮闘する共闘感がある。冒頭で“我が弟よ”とまるでジャイアン口調で笑、でも終始弟を守り導く絶対的な安心感のある兄。突っ走る兄に戸惑いながらも、ロープを掴んでいてくれるとずっと信じ、絶対的な信頼を寄せる弟。父との再会はわずかだったけど、それが転じて兄弟の絆を強くするなんて構成は、ベタではありつつもどこか心がホッとできた。トリビアに後述する、このラストが監督の実体験に基づくものだというのも、大切な人を失う時にその近しい人の絆が強まる、人間らしい物語だとどこか身近にすら感じる。
◆映像美
もはやとうの昔にCGアニメが辿り着いているレベルではあるものの、改めて映像のクオリティは高い。個性豊かなキャラクターはもちろん、本作では特に“足でコミュニケーションをとる”父の姿の表現がかたや完全にホラーながら、かたやとてもコミカル。目も耳も口もない物体とどうコミュニケーションを取るのか?足を叩くリズムで、それが父の記憶に繋がるなんて表現、なるほどなあと思った。崖を魔法で渡るシーンには、そのリアルさも相まってずっと足がすくみっぱなしだった事も書き添えておく笑。

今回久々の吹替版鑑賞だったけど、個人的にはハリセンボンがハマり過ぎていて、ママが春菜にしか見えなかったのが残念笑。逆に城田優には拍手。違和感ゼロでした。延期されて公開を随分待ったけど、夏の終わりに心温まる、ディズニーピクサーらしい一本を見られてよかった!
◆トリビア
○本作で、ディズニー/ピクサーで初めて“公式”にレズビアンのキャラクターが登場した。(https://virtualgorillaplus.com/anime/onward-lgbtq/)
○ピクサーのキャラクターデザインは、“見た目からキャラクターの背景を語る”鉄則がある。(https://movie.walkerplus.com/news/article/228721/)
○ダン監督の過去の経験をもとに脚本されており、ピクサーの手法としては珍しく、最初から結末が決まっていた。(http://www.billboard-japan.com/d_news/detail/86256/2)

他にもレビュー載せてるのでよかったら↓
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