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2分の1の魔法のsomaddesignのレビュー・感想・評価

2分の1の魔法(2020年製作の映画)
4.5
できれば字幕版を見たかった

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ドラゴンやペガサスが飛び回り、かつては魔法に満ちていた世界も、科学技術の進歩にともない魔法が忘れ去られてしまっていた。引っ込み思案で何をやっても上手くいかないエルフの少年イアン。彼の願いは、自分が生まれる前に亡くなってしまった父親に一目会うこと。16歳の誕生日に、亡き父が母に託した魔法の杖とともに、「父を24時間だけよみがえらせる魔法」を書かれた手紙を手にしたイアンは、早速その魔法を試すが失敗。父を半分だけの姿で復活させてしまう。

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魔法に失敗して、亡くした肉親を悲惨な姿で復活させてしまう兄弟……プロットほぼ鋼錬。コロナ前にSNSでボヤ騒ぎになってたの懐かしい。

時間が合わず、どう頑張っても吹替版しか見られない。うかうかしてると公開自体終わりそうなので慌てて鑑賞。やっぱり自分には今回の吹替は会いませんでした。
志尊淳・城田優の兄弟はまだしも、ママ役のハリセンボンさんが……。てっきりもっと小さい役で、ワイドショーの話題用の起用かと思いきや、かなり重要な役どころでビックリ。息子たちへの慈愛と成長の苦悩を抱えつつも、子供が手を離れつつあってママとして以外の人生にも歩み出そうとしてる多面的なキャラに見えなくて、子離れできない割に新しい彼氏と子供の前でチュー💋する毒親っぽくなっちゃった。全体的に棒気味なのも致命的。


ディズニー・ピクサーのローカライズは大抵完璧なのに、今作に関しては吹替含めて全体的に雑な印象。(イアンのメモが、手書きなのにモロ活字って😓 手書き風フォントなんていくらでもあるだろうし、なんならホントに手書きしたっていいのに)
ピクサー初の同性愛キャラへの配慮も少し残念で、サイクロプスの警官が「私も彼女の娘と〜」のくだりが「私のパートナーの娘と〜」に変更されたのはまだしも、そもそも必要なシーンだったのか謎。


ダン・スキャロン監督自身が1歳の時に父を亡くしていて、「父はどんな人だったか? 自分は父に似てるのだろうか?」と考えながら育った。2つ上の兄と共に「1日だけ父に会えるとしたら、どんな経験をし学ぶだろう」という所から着想を得たそう。
すごくパーソナルな出来事がゆえに、普遍的な誰もが共感し得る物語。


「カール爺さんの空飛ぶ家」「リメンバー・ミー」に続いて、原題より邦題の方が素敵説。ピクサーはティーザーなタイトル好きね。
原題「ONWARD(前進する・前方へ・進展する)」の通り、まずは自分の可能性を信じること。まずは『やれる』と自分を肯定する大事さ、兄弟・家族の絆のありがたみetc……ピクサーがこれまで散々こすってきたテーマだけど、一つ一つの決着までを丹念に描いて、ちゃんとジーンときちゃう。
思えば彼は常に前を目指していて、結果的に「行って帰ってくる」映画ではあるものの、大事なモノはいつも身近にあるって着地。『足元を掘れ、そこに泉がある』



起伏に乏しく、展開のための不必要に思えるキャラやシーンも散見されるし、いつかどこかで見たことのあるようなファンタジーあるあるを楽しむ作品かも。かえすがえすも日本語吹替・ローカライズが残念😖


余談)
どうでもいいけど、ペガサスって角があったっけ? それとも翼の生えたユニコーン?


52本目
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