Hrt

ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネスのHrtのレビュー・感想・評価

3.7
ストレンジとマルチバースをどう結びつけるかは前作でダーク・ディメンションが出てきているし『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』もあったのでそれ絡みかと思いきやある日突然次元を行き来できる少女と出くわすというとんでもなく突発的な展開に面食らってしまった。スコット・デリクソンが監督から降板したのはこのプロットが決まりきっていたからなのか。
代わりに就任したサム・ライミはトビー・マグワイア版『スパイダーマン』を撮っていたので変な勘繰りもしてしまったりしていた。
だがライミを起用した本当の目的は「こっち」だったかと感心した。
キャラクターの扱い方に難があったライミだがそれは本作でも議論を呼んでいる。
今では『ワンダヴィジョン』があの結末を迎えたのはここに繋がるためだったとはっきり分かる。
動機と力、その両方を与えられたときに人間は一体どうなるか。それにはその人物が経過してきた時間とも相関することだ。
基本的に禁忌とされていることを軽く破るストレンジが主人公なので誰が何をしても全然OKだと思う。
そういうタブーに対する緩さが気持ちよかった。
はからずも「加害者のケア」が『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』と本作の共通項となった。
元々は彼らも被害者なり弱者であったということ。
そして誰しも加害する危険性を孕んでいることは2作に限らず通底するものとしてヒーロー映画に存在する。
お決まりの"Dr. Strange will return"が最後に出されたが、ワンダの方はどうなったのかが最も気がかりなことだった。
Hrt

Hrt