ミシンそば

ラヴィ・ド・ボエームのミシンそばのレビュー・感想・評価

ラヴィ・ド・ボエーム(1992年製作の映画)
3.7
いつになく筆致が優し目なカウリスマキ。
原作への愛深きゆえだろうか、無表情ムスッと顔がデフォルトな常連俳優たちもほんの少しだけ「役」の纏いが深い。

自由人(ボヘミアン)であり続ける難しさと、そのために負わねばならない責任なんかを前面に押し出しつつ、自分のやりやすいようにではなく、原作に寄せる形で悲劇の中に一筋の光明を差させる、そんな映画をアキ・カウリスマキが作ったのはある意味宿命か。

演技面では、いつも通りぶっきらぼうだが、前述した通り少しだけ優しさ成分いつもより多めなマッティ・ペロンパーの独壇場。
老け込んだ彼の演技も観てみたかったと、この映画観てまた強く思った。