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ブラック・ミラー: バンダースナッチのRenのレビュー・感想・評価

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ドラマ『ブラック・ミラー』が大好きで、でも一方でお話自体は相当クセ強めなのでそこまで安易には勧められない(シーズン1の第一話が一番トガっているというトガり具合)なぁ〜などと思っていたところにこの映画!こういうトガり方もしてくるのね、という喜び。映画体験はここまで来た。

第一印象:行くところまで行ってしまったクリストファー・ノーラン

選択を迫られる箇所で実際に我々が2択を選び、それにしたがってストーリーが分岐していくインタラクティブな作品。『2つの人生が教えてくれること』では妊娠した/しなかった世界を見せていたけど、その分岐を自分で選べるという点が新時代の映画として最高だった。
劇場公開の映画がIMAXや4DXの方向に進化していく中で、配信作品はこうやって進化していくだろうという納得感。劇場体験に対して配信体験とでも呼ぶべき発明。小林賢太郎が以前NHKでやっていた双方向テレビのコントを思い出した。

超単純計算で2の10数乗のストーリーが展開されていくのがヤバい。正規ルートはググれば出てくるけど(選択をミスると冒頭に引き戻される)、事前知識無しで挑んだので2時間弱かかって完走。道のりも異なれば終わり方も数通り用意されているので、自分の観たものがどういう位置付けにあるストーリーだったかすらよく分からないが、『ブラック・ミラー』らしいなんじゃそら感は健在で良かった。

途中、映画と観客が完全に「双方向」になるのが面白い(人によってはこの展開にもならないかもしれないけど)。「観ている人間が物語を選択する」構造があって、さらにそれ自体をストーリーに組み込む入れ子構造。製作陣は理系出身でしょう。
消費者ファーストのこの時代、観客が観たいものを観せましょうと迎合するようになってしまった世論を吹き飛ばす。あんたらが観たいのはこれでしょ?と鼻で笑う。映画は、選択によってスクリーン越しに対話する時代になったのか。

全パターンを試してみたいけどできるのか....?理論上はできるけど疲れそう....ただ他のエンドは観てみたいので一旦スコアは無しで!

その他、
○『ミッドサマー』で皮剥がされて殺されたアイツがゲームクリエイター役で登場。
○ 親の影響で80'sヒットソングのCDを聞いて育った身としては、Frankie Goes To Hollywoodの『Relax』やKajagoogooの『Too Shy』がいっぱい聞けて嬉しかった。

【余談】Rotten Tomatoesが開催した「Netflixオリジナルドラマを視聴者人気投票でトーナメント方式で戦わせる」企画。優勝候補と思われた『ストレンジャー・シングス 未知の世界』をベスト4で打ち負かしたのが、何を隠そう『ブラック・ミラー』。因みに決勝で『ブラック・ミラー』の4倍の得票で優勝したのがドイツ製作の『ダーク』(昔シーズン1で挫折してしまったので絶対再チャレンジする)。
因みに上記のトーナメント戦は、
ベスト32敗退→『セックス・エデュケーション』『このサイテーな世界の終わり』等
ベスト16敗退→『ハウス・オブ・カード 野望の階段』等
ベスト8敗退→『オザークへようこそ』等
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