たつなみ

アスのたつなみのネタバレレビュー・内容・結末

アス(2019年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

スゲー怖くて面白い。
日本人にはピンとこない伏線が幾つもあるけど、単純に『ドッペルゲンガーもの』として話の筋を追ってるだけでも戦慄を覚える。

もう一人の自分が自分に成り代わろうとするって話は良くあるけど、それが家族全員分いるというだけで恐ろしさが倍増してる。
最初は得体の知れないオカルト的な物語なのかと思いきや、実はSF的なちゃんとした設定があるし、実は富裕層と貧困層の格差のメタファーにもなっている。
『幸せ』の裏側には必ず誰かの『不幸』がある。
そして自分もいつ不幸の側に落ちるか分からない。

『Hands Across America』とか、『エレミヤ書 11章11節』の意味は後から町山智浩さんの解説動画を見て理解出来たが、色々調べてみると奥が深い作品なのだという事がよく分かる。
全然気づかなかったけど、家族でビーチに向かうクルマの中で曲を聴いているシーンでは、お母さんが取っているリズムが少し外れている。
これはお母さんが音楽経験の全くないクローンに入れ替わっていることを示唆しているのだという。
こういう細かい設定まで緻密に作りこまれている。

J.ピール監督の映画に対する誠実さを感じる良作。
次作は必ず劇場で観るぞ。

【追記】
町山智浩さんの解説動画(ネタバレあり)↓
https://youtu.be/Xrk0x6-oeew
観賞後に是非!