けまろう

アスのけまろうのネタバレレビュー・内容・結末

アス(2019年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

『Us』観賞。前半が怖すぎる。『ゲット・アウト』の方が好みだったかな。
嘗て一つのアメリカを目指した「Hands Across America」という幻想に対するアンチテーゼ。黒人差別撤廃に代表される公民権運動、表層的には一定の成果を出しつつも、深層心理では依然として根強く残る人種差別。特にトランプが出てきてからはそれが顕在化し、現在のBLM運動へと連なっているのだろう。
黒人一家のウィルソン家と白人一家のタイラー家の関係性がそれを象徴する。表面的には仲の良い家族ぐるみの付き合いを見せるが、その裏でウィルソン家は嫉妬し、タイラー家は見下していた。「黒人に優しくする」ことは一つのパフォーマンスにしか過ぎないことを本作は指摘する。BLM運動にお祭り騒ぎのような気持ちで参加した白人のように。
今のままでは「分断」は加速する。問題が解決しているかのように装う我々の代わりに、彼らが地下から出てくる。そして彼らは我々に取って代わり、我々の代わりに「Hands Across America」を達成する。全員が変わらなければ解決され得ない問題、それが黒人差別、人種差別なのだ。
けまろう

けまろう