痛い、汚い、うるさい、けど怖さがない。代わりに感じるのは、燃え上がる青さと稚拙さ。というのがこの映画の愛しい点だ。
画面が常に沸騰してて、あふれた唾やら汗やら言語化できてない感情がガンガン飛んでくるのに、まずボコボコにやられる。
だけど後から思うと実は技巧的で、映画的な驚きや魅せるシーンがいくつもある。
多分観た人は、大好きなシーンが一つはあるのではないかと思う。
そういう映画的な魅力を持ったシーンが沢山あるのだ。
私が1番好きのは、白米を吹き飛ばしながらある決意を告げる宮本と吹き散らかした米粒のついた靖子と宮本の重なった手、そして包丁である。
観てない人サッパリな説明で申し訳ないんですが、核心に触れるので言えないんです。でも、こことても良いシーンでした。大好きです。
技巧的にすごいと思ったのは、沸騰し過ぎな宮本がとうとう感情任せに駆け出したと思ったらフェンスに遮られるシーン。
フェンス良い仕事してんな!と唸りました。ほとばしりが、溢れて飛び出してるのが痛いほど分かる!
他にも
口論の後ろで見えない金魚と止まない水音による不穏さ。
大胆な濡れ場の明るさや体位で魅せる、むき出しな演出。
現実との地続き感が持続し続けるどこかで見た事ある東京の景観。
など、色んな部分に光る演出が込められてる。
なによりショッキングなシーンも決して隠そうとしないむき出しさがすごい。
見ていてキツいシーン数知れず。
到底受け止めきれない熱量過多なセリフと演技に脱帽しつつ、根っこの部分は青い話なので共感できるとんでも映画が爆誕した。