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パパは奮闘中!のMISSATTOのレビュー・感想・評価

パパは奮闘中!(2018年製作の映画)
3.8
「12か月の未来図」と同日鑑賞。
こちらは完全に子ども絡みの「大人成長物語」。子どもたちが変化しないわけではないけど、”成長”はしなくても良い年齢設定とシチュエーション。
むしろ状況に沿った子どもらしい変化を見せているのが現実的で良かったです。

最後まで妻・ローラの失踪原因は本人の言葉で語られることはないが、ほとんど答えと言っても良い内容がオリヴィエ(ロマン・デュリス)の妹ベティ(レティシア・ドッシュ)や母親のセリフにいくらでも出てきて、映画鑑賞者に気づきのポイントを何度も与えてくれるのは見事だなと思った。
なので、映画としては、妻であるローラが失踪した後のオリヴィエの苦労などが中心に描かれているが、それはそのままそれまでのローラの苦労なのだとわかる流れになっている。
少なくとも言葉がコミュニケーションツールとして通じるようになってからの子ども相手なのだから、そんなものローラの苦労に比べたら屁のようなものだろ、とすら思ってしまった。

それなのにオリヴィエが、結構終わりの方まで母親にも妹にも、おそらく妻に対してと同じ感覚で接していて本当にイライラしたなぁ…母親のあるセリフをオリヴィエが笑い飛ばした時には、同じ環境に育っていたはずの妹は気づいてるのになぜおまえは気づかないんだ!?ローラに後頭部を鈍器で殴られなくて良かったね!とすら思った(爆)

ローラが失踪したくなる気持ちはよくわかるし、むしろ自己防衛と子どもたちを守りたい本能的な判断力があったからこそ彼女はその場から逃げるという選択ができたのだろうな、というのが失踪に対する映画から受けた私の印象。
これってブラック企業から逃げるのと同じ心理だと思う。
…けど、これって子育ての基本はパートナー同士(別れた後でも)両方に等しく課せられた『無償の仕事』であるという意識がないと理解できないかもしれない…??

最後の締めも、ちゃんとオリヴィエにもローラにも個々の人間として選択する権利や自由が残されていてフランス映画らしいな、と思った。
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