tanayuki

イン・ザ・ハイツのtanayukiのレビュー・感想・評価

イン・ザ・ハイツ(2021年製作の映画)
4.1
ネトフリのラインナップに入ってきたので再鑑賞。最初見たときはジモティ礼賛映画だと思ってしまったけど、ミナリを見たあと見直してみると、これは移民がアメリカに根づいてアメリカこそ故郷だと自覚するに至る物語だというすなおな見方ができて評価があがった。毎回他人の評価は気にせず虚心坦懐に作品と向き合おうと心がけてるつもりだけど、むずかしいね。無意識のバイアスが目を曇らせてしまう。

△2022/07/24 ネトフリ鑑賞。スコア4.1

リン=マニュエル・ミランダ作詞・作曲・主演のブロードウェイミュージカル「イン・ザ・ハイツ」の映画化。ミランダは本作でもピラグア(カキ氷)売りの男ピラグエロ役で登場する。監督は「クレイジー・リッチ」も手がけた台湾系米国人ジョン・M・チュウ。

Nueva Yorkのワシントンハイツ地区はドミニカをはじめプエルト・リコ、キューバなどの移民が肩を寄せ合って暮らすコミュニティ。故郷に帰りたいウスナヴィ(US Navy)も、地元の期待とは裏腹に大学で差別を受けて舞い戻ってきたニーナも、自らのルーツとアイデンティティの問題の悩むが、結局、自分が育ち、仲間がいる場所が故郷であるという当たり前の事実に思い至る。傷ついた心を癒すのはあくまでホームであり、「アイムホーム」であり「ウェルカムホーム」であるという地元サイコーのジモティ礼賛映画というところが、イマイチ入り込めなかった原因かも。

「ドゥ・ザ・ライト・シング」から30年以上経ってようやくラテンコミュニティもブロードウェイやハリウッドの視界に入ってきたとも言えるが、遅れてきたものの強みというか、怒りをストレートにぶつけるだけではどうしても乗り越えられない壁があると知ってのことか、あるいはラテンの気質がそうさせるのか、人種差別批判はほどほどに、ローカルコミュニティの絆こそ自分たちを守ってくれる最後の砦、というのは、物語としては美しいのかもしれないが、ほとんどなんの問題も解決していないという意味では物足りない。歌って踊ってみんなで笑ってハッピー、それ以上何を望むのよ、と言われたら返す言葉もないけどね。

△2021/08/07 ヒューマントラストシネマ渋谷で鑑賞。スコア3.9
tanayuki

tanayuki