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ハミングバード・プロジェクト 0.001 秒の男たちのrage30のネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

0.001秒の為に、通信回線を直線で繋げる話。

「通信速度を速くする為に、回線を直線で繋げる」…この奇想天外なアイディアにまず惹かれましたね。
例え、思いついたとしても、普通は非現実的で諦めると思うのですが、それを実行してしまうのが本作の面白いところ。
土地の買収や地下の堀削作業など、プロセスを具体的に見せていくので、彼らのチャレンジをワクワクしながら見てしまいました。

しかし、この前代未聞なプロジェクトがそう簡単に進むわけもなく、元上司の嫌がらせ、コードの改善、病気や脅迫、山間での掘削作業と、次から次へと問題が発生していきます。
この辺は挑戦モノの映画としては常套な展開ですし、ちょっとしたサスペンスとしても楽しめるところでしょう。

結局、彼らの回線が繋がる前に、ライバルに先を越されてしまうわけですが、冷静に考えると、彼らが勝利したとて、儲かるのは彼らと資本家だけなんですよね。
金持ちがより金持ちになる…格差をより広げるだけで、彼らのやっている事は社会にとっては良くない事なのかもしれない。
途中で現れる、ウェイトレスとアーミッシュの男が指摘する様に、肥大化する金融市場や加速化する格差社会への警告こそが、本作の最も伝えたいメッセージだったのかもしれません。

ハッピーエンドで終わる作品ではないので、なかなか人に薦め辛い作品ではありますが、高頻度取引の仕組みは勉強になったし、ハゲ頭で神経質な男を演じるアレクサンダー・スカルスガルドも新鮮で、個人的にはなかなか見所のある作品でした。
あらすじを見て、少しでも興味が湧けば、見て損のない作品かなと思います。
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