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フォードvsフェラーリのKENKOTAKUのレビュー・感想・評価

フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)
4.0
僕は死ぬまでに運転したいクルマがある。

その一台がシェルビーコブラだ。
英国製のオープンボディに無理矢理アメリカンなV8エンジンをぶち込み、まるでステロイドを使ってマッチョになったボディビルダーのような
モンスターマシンだ。
故・梅宮辰夫氏が終生愛した車としても有名だ。

そう、映画の中にも何度も登場するブルーのオープンカーだ。

アクセルを踏み込みクラッチをミートした瞬間
あまりのパワーに後輪は白煙を上げながら空転し、蛇行しながらも路面にタイヤ痕をつけて
猛然とダッシュする。
その姿か蛇に似ているからコブラと命名されたという。

そのシェルビーコブラの生みの親こそが
この映画の主人公の一人
マットデイモン演じるキャロル・シェルビーだ。

クルマ好き、レース好きなら当然知っている
1960年代のフェラーリとフォードの確執と因縁の対決を軸に、フォード社内での様々な人間模様や、GT40の育ての親とも言えるもう一人の主人公クリスチャン・ベール演じるケン・マイルズとシェルビーの友情物語とも言える本作は
かつてのスポーツカーに憧れた少年たちにとっても、まさに夢のような物語でもある。

ええ年こいたオッさんたちがスピードと勝利に生命を懸ける。いつまでもやんちゃ坊主であり、それこそが男の本能、闘争心、ロマンとも言えるのです。

本作は「フォードVSフェラーリ」というタイトルだが、僕には「シェルビーアメリカンの挑戦」というほうがしっくりくる。

そして、だからこそもっとシェルビーアメリカンの歴史を描いて欲しかったと思うのは贅沢なのでしょうか。

とにかく、あっという間の2時間20分でした。

映画のハイライトであるルマン24時間レースでスタートラインから車まで走って行く慣例のスタートの撮影でケンを演じるクリスチャンベールに一つの奇跡が起こったという。

横に並んでいるドライバー達が
実は全て当時のドライバー達のご子息やお孫さん達だったのだ。

ジェームズ・マンゴールド監督の粋な演出にも
大拍手なのです。
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