ベイビー

DUNE/デューン 砂の惑星のベイビーのレビュー・感想・評価

DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)
4.1
これぞ「未だかつてない、シネマ・エクスペリエンス!」。

随分昔にデヴィッド・リンチ監督版を観たのですが、長き月日の中で内容はもちろん忘れてしまったもののただ難解だったことだけは覚えていました。今思えば作品が難解だったというよりも、あの壮大な物語を約2時間にまとめたこと自体に無理があったみたいですね。

で、今作も2時間35分という上映時間の中でちゃんと物語がまとまるのかな? と心配していたら「DUNE」というタイトルクレジットの下に小さく「Part One」という文字がありましたよね! もう続編確定じゃないですか‼︎

もうそれを知っただけで、気持ち的にはゆったりできました。序盤で登場人物の相関を紐付けるのに少々手こずったものの、あとは少しずつ丁寧に進行するストーリーが面白い。こういう慌てない貫禄のある演出はさすがドゥニ・ヴィルヌーヴ監督ですね。作品としての品格が漂っています。

そして何と言っても映像が素晴らし過ぎます。「メッセージ」「ブレードランナー 2049」に続き今作の「DUNE」に至るまで、もうドゥニ監督が描くSFの世界観は確立されましたよね。人物や建造物の異世界観といい、あの巨大なサンドワームが近づいて来る緊迫感といい、シールドのノイズが入る戦闘シーンといい、ドゥニ監督独特の世界観が美しく映像化され、終始飽きることなくスクリーンに釘付けでした。

そして、その見事な映像に彩りを添えているのがハンス・ジマー氏の超ド変態サウンド。いや、彩りを添えたというよりも、ドゥニ監督の映像とジマー氏の音楽のどつき合いを体感している感覚です。どつき合いながらも作品の中でしっかり調和されてるのですから、本当にお見事としか言い表せません。やはりこれはIMAXで体感すべきだと思います。

この二人の映像なり音楽なりを受け止めると、この物語が言語を超越した普遍的な叙事詩だと気付かされます。言葉やジャンルとか、伝統とか新しいとか、そういった一定の括りでは区別されない人類の根本にある英雄譚。原作の「DUNE」が「風の谷のナウシカ」に影響を与えた、と言われてますが、この先あのポールもナウシカのような圧倒的に慈悲深い存在となるのでしょうか?

未だ公言はされていませんが、次なるストーリーがあるのなら今すぐ観せていただきたい。
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