やんげき

イエスタデイのやんげきのレビュー・感想・評価

イエスタデイ(2019年製作の映画)
3.8
ダニー・ボイルひょっとして総監督的な立ち位置?と言うほど色薄かった。ほとんど脚本のリチャード・カーティスの作品。全く切羽詰まったところのない、始めから全てを持っている男が、自分の足元の幸せに気づくラブコメ。

主人公ジャックは元学校の先生で、リリー・ジェイムズが唯一の自分の理解者でマネージャーの音楽家を夢見る男ってお前それはすでにワガママだぞ。

2019年の現代は、そのどれ一つ持てない層が溢れかえっているというのに、「人気出ない」なんてハッピーすぎる悩みだ。

そしてビートルズのスコアを手に入れても、冴えない感じが抜けないのがまたすごい。そんな作品最近なかなか見ない。
もっと切羽詰まっていて、狂っていて、暑苦しい。

こうなると、普通はパーソナルでミニマルな事にビートルズの曲を使ってめちゃ小粒な作品に仕上がってしまいそうなところをエド・シーラン本人が出演し、万単位のライブ動員をそのまま使い、さらに、ビートルズのスコアも挿入歌として使いまくる事でスケールをグレードアップさせているところが大御所の凄さだ。

結果的に政治的なメッセージも、ポリコレも、現代への啓示も示さない。
悪人も可哀想な人もいない。終始、愛と笑いに満ちた幸せな夢を見せてくれる作品に昇華している。

リチャード・カーティスお馴染みのヒロイン可愛すぎ演出は今回も素晴らしかった!
男を狂わす女エリー(リリー・ジェイムズ)。抜群のスタイルと自然なあざとさを持っているくせに、一途で純情なのはさすがはラブコメの帝王が生み出したキャラクターだよ。
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